企業型確定拠出年金

確定拠出年金企業型のバランスファンドが安全ではない理由

こんにちは、確定拠出年金相談ねっと 認定FP

アイマーク株式会社 代表の村松です。

確定拠出年金企業型の運用商品の中には、大抵の場合バランスファンドがあります。

確定拠出年金企業型の導入セミナーなどでは、元本確保型商品よりもバランスファンドをおすすめされることがあるため、バランスファンドを運用している人は多いかもしれません。

しかし、バランスファンドを理解せずに運用していると、資産を増やす機会を逃してしまう可能性が高くなります。この記事では、バランスファンドの基本的な内容と、バランスファンドを選ぶだけでは安全ではない理由について解説しています。

バランスファンドとは

確定拠出年金企業型の運用商品には、国内債券投資信託、海外債券投資信託、国内株式投資信託、海外投資信託などがあります。たくさんの投資信託があるため、どれを運用すれば良いかわからなくなります。

「バランスファンド」とは、運用商品を選べない投資初心者向けに作られた、複数の投資信託を組み合わせて運用する商品です。

バランスファンドのメリット

投資をしたことがないけれど、投資に挑戦してみたいという方にとって、バランスファンドは魅力的な商品にみえるでしょう。バランスファンドの、主なメリットを3つ紹介していきます。

  • 運用開始時の配分割合をプロに任せられる
  • 運用途中の配分割合の変更もプロに任せられる
  • 運用商品の分散効果がある

運用開始時の配分割合をプロに任せられる

バランスファンドや投資信託などは、投資のプロであるファンドマネージャーが、運用商品の方針に従って商品の運用をしています。

投資初心者は、個別株などを購入するよりも、ファンドマネージャーに運用してもらう方が安全に運用できます。

運用途中の配分割合の変更もプロに任せられる

リスクコントロールファンド(またはアロケーション型)や、ターゲットイヤーファンドなどのバランスファンドは、ファンドマネージャーが、経済情勢や運用期間などを考慮して、運用商品の配分割合を自動的に変更します。

運用商品の分散効果がある

投資信託はたくさんの株式や、たくさんの国の債券を含めて運用しているため、商品の分散投資の効果が働いています。

しかし、国内株式投資信託であれば、運用商品が国内株式に限定され、外国株式投資信託であれば、運用商品が海外株式に限定されます。

国内や国外に限定されることで、分散効果が薄れてしまうことを理解しておきましょう。

バランスファンドであれば、リスク許容度に応じた商品を1つ選択するだけで、国内外の債券や国内外のREIT(不動産投資信託)、国内外株式などを分散投資できます。

バランスファンドには、投資信託よりも効果的な分散効果があります。

バランスファンドの種類

バランスファンドは、主に以下の3種類に分類されます。

  • アセットミックスファンド(または、配分比率固定型)
  • リスクコントロールファンド
  • ターゲットイヤーファンド

それぞれの違いについて理解するために、株式と債券のリスクとリターンの関係を解説していきます。

株式と債券について

株式とは、資金を出資してくれた株主に対して発行する証券のことです。出資を受けた会社は、株主から出資された資金を活用して事業活動を行い、得られた利益を株主に還元します。

債券には、企業が発行する社債、国や地方自治体が発行する公債、金融機関が発行する社債などがあります。基本的に債券には満期があり、満期日に額面金額に利子を上乗せした金額が返済されるのです。

一般的に、株式の方が債券よりもリスクとリターンが大きく、債券の方が株式よりもリスクとリターンが小さい傾向にあります。

株式と債券のリスクとリターンの関係をふまえて、各バランスファンドの解説をしていきます。

アセットミックスファンド

アセットミックスファンドは、配分比率固定型ともいわれます。国内外の債券、株式、REIT(不動産投資信託)などで運用しますが、配分比率はあらかじめ決まっています。

例えば、アセットミックスファンド株式30%型という商品があったとすると、配分割合の30%を国内株式と外国株式で運用して、残りの70%を他の商品で運用します。

アセットミックスファンド株式70%型という商品の場合、配分割合の70%を株式で運用するため、リスクは高くなりますが大きなリターンを期待できる商品と推測できるでしょう。

配分比率の株式割合が大きくなるほど、投資のリスクとリターンが大きくなります。

リスクコントロールファンド

リスクコントロールファンドは、アロケーション型ともいわれます。経済情勢を考慮して、ファンドマネージャーが運用商品の配分割合を調整する商品です。

株式市場が好調な時は株式の配分比率を高めて、積極的な運用によってリターンを狙います。

反対に、株式市場が不調な時は株式の配分比率を減らし、債券の比率を高めることでリスクを抑えた安全な運用を行います。

ファンドマネージャーが運用商品の配分比率の変更を行うため、バランスファンドを購入した人は株式市場を確認する必要がありません。

ターゲットイヤーファンド

ターゲットイヤーファンドとは、運用当初に株式の配分比率が高い積極的な運用を行い、受取年齢に近づくにつれて債券比率を自動的に増やしていく商品です。

基本的に、投資は、運用期間の経過とともに、リスクをおさえた運用に切り替えていきます。確定拠出年金企業型の受取年齢である60歳や65歳が近づけば、元本を減らすような運用は避ける方が安全であるからです。

ターゲットイヤーファンドを運用していれば、年齢に応じて配分割合を変更する必要はありません。

バランスファンドの注意点

バランスファンドは、投資初心者や、運用結果を確認する時間がない人にとって便利な商品にみえます。しかし、バランスファンドを運用する上で、注意しておくべき点が2つあります。

  • 投資の知識が身につかない
  • リスクをおさえられるがリターンが小さくなる

投資の知識が身につかない

バランスファンドは、ファンドマネージャーが自動的に配分割合などを調整するため、運用していても、投資の知識が身につきません。バランスファンドを運用商品に選んで安心していると、投資初心者が成長することはありません。

リスクをおさえられるがリターンが少なくなる

バランスファンドを1つ運用していれば、分散効果によりリスクをおさえられますが、リターンも少なくなってしまいます。運用期間が長いのであれば、時間の分散効果を活用して、リスクの高い商品の運用も検討するべきです。

バランスファンドは、分散効果が働いていることで安心できる商品かもしれませんが、リターンを得られる機会を失っていることを理解しておく必要があります。

今後、高齢化が進むと、手元にある資金を効率よく運用することが重要になってきます。収入を得ながら運用ができる期間を、資産運用の練習期間と捉えて、自分の判断で運用商品を選んでみてはどうでしょうか。

まとめ

バランスファンドは、時間がない人や投資初心者にとっては非常に便利で安心できる魅力的な商品にみえます。しかし、バランスファンドを保有し続けることはあまりおすすめできません。

制度改正によって、受給開始年齢を75歳まで伸ばすことができ、加入期間も70歳までとなります。運用期間が長くなり、資産形成をしやすい環境が整うため、自分の判断で運用ができる人と、バランスファンドなどの商品に頼ってしまう人では大きく差がつくでしょう。

資産運用でわからないことがあれば、お気軽にアイマークまでご相談ください。

確定拠出年金企業型の節税効果とは?メリットとデメリットを解説

確定拠出年金相談ねっと 認定FP

アイマーク株式会社 代表の村松です。

確定拠出年金企業型は企業、従業員に節税効果がある税制上有利な制度です。

しかし、企業の掛金の負担などの要因から、導入している企業が大企業に偏っている印象があります。この記事では、確定拠出年金企業型の節税効果やメリット・デメリットについて解説しています。

確定拠出年金企業型とは

確定拠出年金企業型とは、加入者が用意された商品の中から、自分に合う資産を選んで運用する制度です。加入者は原則60歳まで運用し、退職金として将来受け取ります。

導入にあたり、事業主と従業員の同意、運営管理機関や資産管理機関の選任が必要です。運営管理機関は、加入者の管理、運用商品の情報提供、制度の運営などを行い、資産管理機関は、加入者のお金の管理を行います。

基本的に、手続きの窓口となるのは、銀行や保険会社などの運営管理機関となります。

確定拠出年金企業型と確定給付型の企業年金との違い

企業で導入できる主な退職金制度と確定拠出年金企業型を比べてみると以下の通りになります。以下の3つにわけて紹介していきます。

  • 確定拠出年金(確定拠出型)
  • 厚生年金基金(確定給付型)
  • 確定給付型企業年金(確定給付型)

比較すべきポイントは、確定拠出型は会社からの掛金が決まっているのに対して、確定給付型は給付する退職金を保障している点です。

もう1つの比較すべきポイントは、確定拠出型が資産運用を加入者(従業員)が行っているのに対して、確定給付型は資産運用を会社が行っている点です。

  確定拠出型 確定給付型
確定拠出年金 厚生年金基金 確定給付型企業年金
しくみ 掛金が決まっている 給付額を保障 給付額を保障
運営 事業主 厚生年金基金 事業主、企業年金基金
掛金 事業主、規約に定めたときは本人掛金も可能 加算部分はほとんどが事業主負担。代行部分は事業主と加入者が折半 事業主
資産運用 加入者 会社 会社
税制(拠出時) 非課税 非課税 非課税
運用 特別法人税課税(凍結中) 非課税 特別法人税課税(凍結中)
退職時 公的年金、退職所得控除 公的年金、退職所得控除 公的年金、退職所得控除

確定拠出年金企業型のメリット

確定拠出年金企業型を上手く活用できれば、企業と従業員にメリットがあります。

確定拠出年金企業型には、主に以下の3つのメリットがあります。

  • 掛金は事業主、従業員ともに控除対象
  • 事業主の負担が増えない「選択制」
  • 積立金不足の補填の必要が無い

掛金は事業主、従業員ともに控除対象

事業主が拠出する確定拠出年金企業型の掛金は、福利厚生費として全額損金扱いとなります。従業員側は掛金に対して税金や社会保険料がかかりません。
掛金ではなく給料を増やした場合、会社は損金になりますが、従業員は増加した給料分に税金と社会保険料がかかります。

事業主の負担が増えない「選択制」

確定拠出年金企業型を導入することによって、会社の掛金の負担が増えてしまいます。しかし「選択制」を導入することで問題を解決できます。

確定拠出年金企業型の選択制とは、給与の一部を掛金にするかしないかを従業員が選べる制度のことです。

例えば、給料のうち1万円までを確定拠出年金企業型の掛金として利用できる場合、従業員は、0円~1万円の範囲で掛金を選択できます。

企業は掛金として新たな費用を発生させることなく、確定拠出年金企業型を導入できます。

従業員は、選択した金額に税金と社会保険料の負担がなくなるため、税負担が軽減されるのです。
従業員が選択できるため、企業が一方的に福利厚生を導入したという不満を持ちにくく、合意を得やすいメリットもあります。

積立金不足の補填の必要が無い

確定給付型の場合には、事業主が掛金を負担、運用を行い、退職金の支払いに備えています。準備した退職金から、社内の退職金規定に基づき社員の退職時に給付を行いますが、運用環境の悪化により、約束した退職金を準備できないケースが増えています。

準備できなかった退職金の不足額は、事業主が負担しなければなりません。

確定拠出型であれば、毎月決まった掛金を拠出し、運用は従業員が行うため、将来の積立不足額を追加で負担するリスクがなくなります。

確定拠出年金企業型のデメリット

メリットがたくさんある確定拠出年金企業型ですが、デメリットもあることを把握しておく必要があります。

確定拠出年金企業型には、主に以下の3つのデメリットがあります。

  1. 従業員は60歳まで受け取れない
  2. 事務コストがかかる
  3. 制度導入に時間がかかる

従業員は60歳まで受け取れない

通常の確定拠出年金企業型で企業が掛金を拠出する場合も、選択制で掛金を選択した場合も、運用した金額は原則60歳まで受け取れません。

60歳になる前に退職した場合にも退職金として掛金をすべて受け取れない点に注意しておきましょう。

事務コストがかかる

選択制確定拠出年金企業型を導入することで、追加で発生する費用はなくなりますが、導入に伴うコストが発生します。

導入に伴うコストとして、社員教育や毎月の手数料、初期導入費用などがあります。また、人事部や経理部担当が窓口になることが多いため、導入に伴って労働コストが増加することも把握しておきましょう。

制度導入に時間がかかる

確定拠出年金企業型の導入までの流れは以下の通りです。

  1. 申請・制度作成業務
  2. 労使の合意
  3. 商品選定と提示

確定拠出年金企業型を導入するためには、ある程度時間がかかることを理解しておきましょう。

申請・制度作成業務

制度内容の決定・規約の作成をした後、厚生局の承認を得ます。社会保険労務士や年金制度に詳しい専門家の助けを借りながら、制度の届出手続きを行うと安心です。

労使の合意

労使の合意がなければ、確定拠出年金企業型は導入できません。労使の合意に向けた説明会など従業員に対する丁寧な説明が必要です。

商品選定と提示

運用商品の選定には、リスク商品や元本確保型商品の商品数など一定のルールがあります。定期的な見直しや報告書の作成などが必要であるため、導入後にも手続きが必要なことも把握しておきましょう。

まとめ

確定拠出年金企業型を導入することによって以下の3つのメリットがあります。

  • 掛金は事業主、従業員ともに控除対象
  • 事業主の負担が増えない「選択制」
  • 積立金不足の補填の必要が無い

確定拠出年金企業型を導入することによるメリットは大きいですが、従業員が掛金を原則60歳まで受け取れないことや、事務的コストや時間がかかるデメリットもあることを理解しておきましょう。

アイマークでは中小企業でも導入コストが負担にならないよう、コストダウンをしたサービスを提供しています。気になる方は、お気軽にアイマークまでご相談ください。

貯蓄ゼロだと老後はどうなる?今からできる資産形成を解説

こんにちは、確定拠出年金相談ねっと 認定FP

アイマーク株式会社 代表の村松です

金融広報委員会の調査によると、若者世代だけではなく、単身、2人以上世帯に貯蓄ゼロの世帯が一定数あるという結果が出ています。

平均寿命も延びており、老後にいくら用意していいのかと不安になっている人も多いのではないでしょうか。この記事では、金融広報委員会の調査をもとに、今からでもできる資産形成の方法について解説しています。

貯蓄ゼロの人はどれくらいいる?

金融広報委員会「令和2年度家計の金融行動に関する世論調査」の年代別貯蓄ゼロの割合を単身者と2人以上の世帯別に紹介していきます。

年代別貯蓄ゼロの割合(単身者)

【年代別貯蓄ゼロの割合(単身者)】

年代 割合(%)
20代 43.2%
30代 31.1%
40代 35.5%
50代 41.0%
60代 29.4%

「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和2年)」を参考に作成
https://www.shiruporuto.jp/public/data/movie/yoron/tanshin/2020/20bunruit001.html

単身者の場合、貯蓄ゼロと回答したのは全体で36.2%であり、年代別では表の通りです。
貯蓄ゼロの割合としては、収入が低い20代の割合が多いですが、その他の世代も貯蓄ゼロの世帯が一定数存在します。

年代別貯蓄ゼロの割合(2人以上世帯)

【年代別貯蓄ゼロの割合(2人以上世帯)】

年代(世帯主の年代) 割合(%)
20代 16.0%
30代 8.2%
40代 13.5%
50代 13.3%
60代 18.3%
70代 18.6%

「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和2年)」を参考に作成
https://www.shiruporuto.jp/public/data/movie/yoron/tanshin/2020/20bunruit001.html

2人以上世帯の場合、貯蓄ゼロと回答したのは全体では16.1%であり、年代別は表の通りです。

単身世帯よりも、貯蓄ゼロの世帯は少ない傾向にありますが、各年代ごとに貯蓄ゼロの世帯が一定数存在します。

老後に必要な金額はいくらか?

生命保険文化センターの調査によると、夫が65歳以上で、妻が60歳以上の無職世帯(夫婦のみ)の家計では、税金や社会保険料を除いた自由に使えるお金(可処分所得)が20.7万円という結果が出ています。

しかし、可処分所得20.7万円であるのに対して平均消費支出が24.0万円であるため、1ヶ月あたり、3.3万円が不足します。

単身者の場合は可処分所得が11.5万円であるのに対して平均消費支出は13.9万円であるため、月に2.4万円が不足するのです。

単身者の男性が65歳の定年退職後から男性の平均寿命である約81歳まで生きるとすると、老後の生活費は約460万円(2.4万×12ヶ月×16年)が追加で必要になります。

介護施設に入ったり、病気などで入院をしたり、自宅のリフォームなどがあれば、さらに必要な金額は増えます。

貯蓄だけでは安心できない

厚生労働省の簡易生命表にある平均寿命の年次推移をみると、毎年着実に平均寿命は延び続けています。

老後資金がいくら必要かという議論は多いですが、平均寿命の延びや医療費などの増加もあるため、正確な金額を予測するのは困難です。

老後は貯蓄がいくらあっても安心できない状況といえるでしょう。

老後を安心して暮らすために必要なこと

安心して老後生活を送るためには、運用してきた資産を取り崩すことで、資産寿命を伸ばす必要があります。
しかし、預貯金や債券といったローリスク、ローリターンの商品の運用をしていては、資産寿命を延ばすのは難しいです。

資産寿命を延ばすためには、運用する商品が重要となってきます。

老後のために目減りしない資産を作る

長期投資をすることで、リスクを抑えながら、資産は増やすことができます。お金を2倍にするために、必要な年利と年数を計算する方法として「72の法則」があります。

元本100万円を運用期間10年で2倍にするためには年利7.2%(72÷10年=7.2)が必要とわかるでしょう。年利が3%と決まっているのであれば、元本100万円が2倍になるための運用年数が24年(72÷3=24)とわかります。

投資においては、リスクとリターンは表裏一体の関係にあるため、年利が高い運用をすれば、リスクも高まるので注意が必要です。72の法則を意識しながら、老後にいくら準備できるかを確認しておきましょう。

若いうちから資産運用を開始することで、長期投資による分散効果を活用しながら、リスクとリターンの大きい商品を運用しましょう。運用益が生活費を上回るような、目減りしない資産を形成できれば、老後の心配もなくなります。

確定拠出年金企業型を活用する

確定拠出年金企業型の商品を運用することで、目減りしない資産を形成できます。

確定拠出年金企業型は老後の資産形成をするための制度であり、従業員が貯蓄が苦手でも、会社で確定拠出年金企業型を導入をすることで、老後の資産形成を手助けできます。

老後に貯蓄ゼロの社員を生み出さないためにも、確定拠出年金企業型の導入はおすすめです。

まとめ

単身と2人以上世帯のいずれも、各年代に貯蓄ゼロの世帯が存在します。老後に貯蓄が必要といわれても、平均寿命が延び、病気や介護にかかる費用を考慮すると、老後資金をどれだけ用意しても不安はなくなりません。

確定拠出年金企業型を上手に活用することで、運用してきた資産を生活費として取り崩しても、目減りしない資産を作ることが可能です。

老後に貯蓄ゼロとなる社員を生み出さないために、確定拠出年金企業型を導入して、従業員の老後の資産形成の手助けをしてあげましょう。

もし、老後の資産形成についてわからないことがあれば、お気軽にアイマークまでご相談ください。

どの資産に投資する?確定拠出年金企業型のポートフォリオの作り方

こんにちは、確定拠出年金相談ねっと 認定FP

アイマーク株式会社 代表の村松です。

確定拠出年金企業型をきっかけに、投資を始める人も多く、運用する商品をどのように組み合わせるべきかわからないという方も多いでしょう。
特徴の異なる商品を組み合わせることでリスクを抑えた運用ができるため、ポートフォリオ作りは重要です。この記事では、ポートフォリオの説明と、ポートフォリオの作り方について解説しています。

ポートフォリオとは

ポートフォリオとは、株式や債券などの運用商品の組み合わせをいいます。

投資の経験がない人は、確定拠出年金企業型のセミナーなどの内容を参考にして、運用商品を選びましょう。

確定拠出年金企業型の運用商品には、元本確保型商品、債券信託、株式投資信託といったカテゴリーがあります。

毎月の掛金が10,000円の場合、元本確保型商品に30%、国内株式投資信託に20%、海外株式投資信託に30%、国内債券20%などのように、各カテゴリーに何パーセント掛金を配分するか決めます。

配分割合の30%である元本確保型商品のうち、1年定期預金を20%と保険商品の10%のように、さらに個別の商品に毎月の掛金を割り振りましょう。

ポートフォリオを作るためには、このように毎月の掛金をどのような資産に配分するかを具体的に決めていく必要があります。

ポートフォリオを自分で組むことが重要

退職金制度が変更になると聞いてなんとなく確定拠出年金企業型のセミナーに参加した方や、投資初心者の方は、自分でポートフォリオを組めていないのではないでしょうか。

急に資産運用の話を聞かされて、期限までに運用商品を選んでくださいと言われても困ってしまうのは当然です。制度の仕組みすらわからず、運用商品を選択している方は損をしている可能性が高いでしょう。

確定拠出年金企業型は、老後の年金を増やすための大切な制度です。上手く資産運用ができれば、資産を大きく増やせるチャンスがあるので、商品の選択を自分の意思で行い、自分に合ったポートフォリオを作るのが大切です。

ポートフォリオの作り方

一般的なポートフォリオの作成手順について解説します。ポートフォリオの作成手順は以下の通りです。

  1. 各資産のリスクについて理解する
  2. 各資産の特徴について理解する
  3. 自分のリスク許容度を理解する
  4. 実際にポートフォリオを作る

投資は、商品によって値動きが小さいものや、大きいものなどさまざまな種類があり、値動きの幅のことをリスクといいます。リスクの高い商品ほど、大きなリターンを得られる可能性が高くなる傾向にあります。

各資産のリスクについて理解する

参考:確定拠出年金企業型の運用商品をわかりやすく解説 : コラム – FP相談ねっと認定FP 村松 繁 :2022年8月18日 更新。 (fpsdn.net)

確定拠出年金企業型の運用商品のリスクとリターンについて解説します。

各資産のリスクとリターンの関係は画像の通りです。上へいくほどリターンが大きくなりますが、右へいくほどリスクも大きくなります。
1番リスクとリターンが小さい商品が「元本確保商品」であり、1番リスクとリターンが大きい商品が「外国株式」とわかります。

各資産の特徴について理解する

各資産の特徴は以下の通りです。各資産の特徴を理解することで、配分割合の調整をする際の判断ができるようになります。

元本確保型商品 満期まで保有すれば元本割れをしないが、資産はほとんど増えない
債券投資信託 比較的安全な資産であるため、株式市場の不調時の候補として選ばれる
株式投資信託 株式市場が好調なときに上昇するため、積極的にリターンを得たいときに活用する
不動産投資信託 金利が低いときに基準価格は上昇する傾向がある
インフレ時の価格の反応が、株式投資信託と比較すると緩やか

自分のリスク許容度を理解する

以下の基準を確認して、自分のリスク許容度を理解しましょう。リスク許容度を理解することで、自分のとれるリスクを再認識できます。

  • 年齢
  • 投資経験
  • その他の資産
  • リスクに対しての考え方

年齢

若い人ほど、投資をする期間が長く取れるため、リスクの高い商品であっても運用できます。長期積立の特徴を利用することで安定したリターンを出せるからです。若い人ほどリスク許容度が高く、年齢を重ねるにつれてリスク許容度は低くなっていきます。

投資経験

投資経験が多い人は、長期投資、分散投資の仕組みを理解していることが多く、情報収集能力も高い傾向にあります。

リスクとリターンの大きい商品の取扱いを理解しており、投資パフォーマンスが良くなる可能性が高いです。投資経験が多い人ほどリスク許容度が高く、投資経験が少ない人ほどリスク許容度は低くなります。

その他の資産

多くの資産がある人ほど、投資に使える余剰資金が多くなるため、リスクとリターンの大きな商品を運用できます。資産が多い人ほどリスク許容度が高く、資産が少ない人ほどリスク許容度は低くなります。

リスクに対しての考え方

リスクをとってでもリターンを狙いたい人や、元本割れは絶対したくないといった人がいるように、投資に関する考え方はさまざまです。

積極的にリスクを背負ってでもリターンを求める人はリスク許容度が高くなり、リスクを可能な限り少なくしたい人はリスク許容度が低くなります。

実際にポートフォリオを作る

各資産のリスクとリターンの関係と自分のリスク許容度が理解できたら、実際にポートフォリオを作ります。

自分の力だけでポートフォリオを作ることが困難な場合は、導入セミナーなどで活用しているチェックシートなどを参考にしてポートフォリオを作るのも良いでしょう。

ポートフォリオにあったバランスファンドを選ぶべきか?

自分で作成したポートフォリオに近いバランスファンドを選ぶことも1つの方法です。
しかし、長期積立の仕組みを活用すれば、リスクをおさえながら、バランスファンドよりも高いリターンを狙える可能性があります。

自分でポートフォリオを作成できたのであれば、バランスファンドよりも自分で作成したポートフォリオで運用することをおすすめします。

バランスファンドは必要ない

投資信託はたくさんの投資銘柄を含んだ投資商品であるため、商品の分散効果が働いている運用方法です。

また、確定拠出年金企業型の仕組みを活用しながら投資をすることで、意識せずとも長期積立による分散効果が働きます。確定拠出年金企業型の仕組みを活用すれば、バランスファンドよりもリターンの高い外国株式投資信託などをリスクをおさえて運用できます。

値動きの大きな商品も、15年、20年という長期間で運用することにより、リスクを減らしながら、大きく資産を増やしていけるのです。各投資信託の過去の実績を確認しながら、長期的な視点で運用商品を選びましょう。

まとめ

各資産のリスクとリターンの関係と自分のリスク許容度を理解して、ポートフォリオを作ることが重要です。投資信託の商品分散効果や、確定拠出年金企業型の仕組みを活用した投資をして、長期積立による分散効果によって、リスクをおさえてリターンの高い商品を運用できるようになります。安易にバランスファンドを選択するのではなく、自分でポートフォリオを作成して運用してみましょう。

リスク許容度が高い人は、収益性の高い商品に特化して運用する方法もおすすめです。
もし、ポートフォリオの作成でわからないことがあれば、お気軽にアイマークまでご相談ください。

分散投資とは?おすすめな理由をわかりやすく解説

こんにちは、確定拠出年金相談ねっと 認定FP

アイマーク株式会社 代表の村松です。

確定拠出年金企業型に加入したけれど、リスクを恐れて、リスクが少ない商品ばかり選んでしまっている人も多いのではないでしょうか。

投資の世界では「リスクとリターンは表裏一体である」という原則があり、リスクを取らなければ、資産を大きく増やすことはできません。

この記事では、リスクを抑えて資産を増やすには、分散投資がおすすめである理由と分散投資の仕組みについて詳しく解説します。

分散投資がおすすめな理由

確定拠出年金企業型の運用商品には、主に「元本確保型商品」と「投資信託」があります。「元本確保型商品」は満期まで保有すれば元本割れしない商品であるため、リスクを取りたくない時は「元本確保型商品」を選択すれば安心です。

しかし、投資には「リスクとリターンは表裏一体である」という原則があります。リスクを取らなければ、リターンを得ることはできないということを意味しています。

「元本確保型商品」は、元本割れするリスクはありませんが、金利がほとんどつかないため、資産が大きく増えることはなく、世の中の物価が上昇した場合には資産の価値が目減りしてしまう可能性もあります。

リスクをできるだけ抑えながら資産を増やしたい人には、分散投資がおすすめです。

分散投資がおすすめである理由には、主に「元本割れが生じる可能性が少なくなる点」と「リターンが大きい商品も入れられる点」の2点があります。

元本割れが生じる可能性が少なくなる

分散投資では、複数の金融商品を組み合わせることによって元本割れの可能性を少なくできます。例えば、ローリスク・ローリターンの債権で元本を守りつつ、ハイリスク・ハイリターンの株式等で利益を出すなどの組み合わせです。

ローリスク・ローリターンの金融商品を多く組み入れたり、値動きの異なる金融商品を組み合わせることで、元本割れの可能性をより減らせます。

リターンが大きい商品も入れられる

引用:リスクを軽減させる「3つの方法」 | 東海東京のiDeCo
https://moneque.tokaitokyo.co.jp/service/ideco/03/method/

分散投資をすることによって、リターンの大きい商品を組み入れられるようになります。

また、分散投資をする際に、長期で運用することができれば、さらに分散効果が期待できるのです。

赤は投資信託の最高収益率、青は最低収益率を表しています。1年単位では大きな開きがありますが、5年平均、10年平均でみると徐々に最高収益と最低収益の幅は少なくなり、保有期間が長くなるほど最大収益率と最小収益率の幅が小さくなっていることがわかります。

リスクのある投資商品の場合、1年単位での最高収益と最低収益の値幅は大きいですが、長期運用を継続することで、プラスとマイナスを繰り返すことで相殺し合い、平均の収益率の最高値と最低値の値幅は長期で運用をすればするほど小さくなるのです。

リスクのある商品を組み入れても、分散投資をしながら長期運用することで、リスクとリターンをコントロールできます。

分散投資方法

分散投資をする際には「商品の分散」と「時間の分散」の2点を意識する必要があります。それぞれ重要な理由を解説していきます。

商品の分散とは

商品の分散とは、1つの金融商品だけで運用せずに、複数の金融商品を運用しようということです。

投資の格言に「一つのカゴにたくさんのタマゴを盛るな」という格言があります。これは、一つのカゴにタマゴを全部盛っていた場合、万が一カゴが転倒したら全部のタマゴが壊れてしまうため、一つのカゴにタマゴを盛ってはいけないという教えです。

例えば、タマゴを4つのカゴに分けて盛っておけば、カゴが1つ転倒しても壊れるタマゴは4分の1であるため、4分の3のタマゴは壊れずにすみます。

上記の事例でカゴを4つに分けたように、4つの資産に分けて投資をすれば、1つの商品の価格が暴落しても、残りの3つの商品で補って、投資での大きな損失を防げる可能性があります。

やみくもに商品を分けて運用すれば良いのではなく、値動きの特徴が異なる商品を併せ持つことが重要です。

値動きの異なる商品を併せ持つ

確定拠出年金企業型の商品において、株式と債券の関係は値動きの特徴が異なる関係です。

市場が好調な時は、リターンの大きい株式を購入する人が増えるので株価は上昇し、リターンの低い債券の価格は下がる傾向にあります。

市場が不調な時は、リスクを避けるため、株式の人気がなくなり株価も下がり、安全資産である債券への買いが集まるため、債券価格は上がる傾向にあります。

株式と債券を併せ持つだけでも分散投資の効果がありますが、円高ドル安、円安ドル高というように通貨でも値動きの特徴が相反する商品があるため、国内商品、海外商品も併せ持っておくと、さらに分散効果を高めることが可能です。

元本確保型商品、株式投資信託(国内と海外のもの)、債券投資信託(国内と海外のもの)、(あれば)REITなど、さまざまな投資信託や元本確保型商品をバランスよく持つことで、さらに分散投資の効果が高まります。

加えてリスクの高い商品が運用資産にあっても、リスクを抑えて安定したリターンを得ることが可能です。

時間の分散とは

商品の分散だけでも効果はありますが、さらにリスクを抑える方法として、購入時期を分散させる「時間の分散」があります。簡単に言えば、まとまった金額を一度に投資をしないということです。

手元に100万円の運用資金がある場合に、100万円を一度に投資するのではなく、毎月2万円、3万円というように一定額を買い付けることで時間の分散ができます。
また、時間の分散が有効である理由について、時間の分散として有名な投資手法である「ドルコスト平均法」を使って解説していきます。

ドルコスト平均法

引用:ドルコスト平均法とは?(投資信託のギモン解決集):三井住友銀行 (smbc.co.jp)
https://www.smbc.co.jp/kojin/toushin/gimon/start11/

上記の図のような購入方法を「ドルコスト平均法」といいます。ドルコスト平均法という言葉は難しいですが、単純に毎月一定額で投資商品を購入するだけです。

同じ値動きをする投資信託を「定量購入」した場合と「定額購入」した場合で比較してみましょう。

【定量購入】

  3月 4月 5月 6月 合計 5ケ月間の平均購入価格
購入口数 10口 10口 10口 10口 40口 10,000円
1口あたりの価格 10,000円 13,000円 7,000円 10,000円
購入金額 100,000円 130,000円 70,000円 100,000円 400,000円

【定額購入(ドルコスト平均法)】

  3月 4月 5月 6月 合計 5ケ月間の平均購入価格
購入金額 100,000円 100,000円 100,000円 100,000円 400,000円 約9,524円
1口あたりの価格 10,000円 13,000円 7,000円 10,000円
購入口数 10口 約7.7口 約14.3口 10口 約42口

今回の事例では、定額購入をすることで、平均購入単価を下げることができました。

この事例では、5月の投資信託の基準価格が下がってしまいましたが、定額で購入しているため、口数はたくさん購入することができました。定額購入をしておくと、値下がりさえも味方につけることができます。

まとめ

確定拠出年金企業型の中にはリスクがある商品もあり、投資が初めてという方はリスクのある商品は避けてしまいがちです。

しかし、確定拠出年金企業型を使って老後資産をしっかり形成していくためには、ある程度リスクを取り、大きなリターンを得ることができる商品を組み入れることも大切です。

リスクとリターンの高い商品を、安定して運用するためには、商品の分散、時間の分散、長期投資をすることが重要になります。

確定拠出年金企業型は、最大70歳まで運用でき、掛金は毎月拠出されるため、長期投資と時間の分散は特に意識する必要はありません。

加入者が確定拠出年金企業型で意識するのは「商品選び」です。自分の老後の生活費を充実したものにするためには、商品選びを慎重に行いましょう。弊社でもアドバイスできますので、気になる方はアイマークまでお気軽にご相談ください。

確定拠出年金企業型の改正ポイントとは?注意点もあわせて解説

こんにちは、確定拠出年金相談ねっと 認定FP

アイマーク株式会社 代表の村松です。

令和4年度以降、確定拠出年金の企業型とiDeCo(イデコ)の制度がともに大きく改正となりました。いずれも以前の制度より使いやすく、より老後の資産形成の支えとなる制度に変わっています。

この記事では、確定拠出年金企業型の改正ポイントや注意点について詳しく解説します。

確定拠出年金企業型の改正ポイント

確定拠出年金企業型は、国民の資産形成を推進しようという国の後押しもあり、多くの企業で採用されている制度です。

従業員と企業に税制上のメリットがあるため、現在も導入企業数は毎年伸び続けています。そこで、令和4年度から実施されている以下の3つの変更点について解説していきます。

  • 受給開始年齢の上限を70歳から75歳へ延長
  • 加入可能者年齢が70歳未満に拡大
  • 確定拠出年金企業型の加入者がiDeCo(イデコ)に加入しやすくなる

受給開始年齢の上限を70歳から75歳へ延長

改正前の確定拠出年金企業型では、原則60歳から年金を受け取ることができ、少なくとも70歳までに受給を開始する必要がありました。

令和4年4月からは、受取開始年齢の上限が70歳から75歳となり、運用できる期間が5年伸びたため、従来よりも長い期間で資産運用ができるようになりました。

ただし、60歳以降も運用を続けた結果、60歳時点よりも資産が減少してしまう可能性もあるので注意が必要です。公的年金の繰り下げ支給のように受取を後に伸ばすことによって、受取額が必ず増加するというものではありません。

加入可能年齢が70歳未満に拡大

改正前の確定拠出年金企業型では、掛金拠出ができる年齢は原則60歳未満の厚生年金被保険者となっており、60歳前と同じ事業所で継続して働く厚生年金被保険者のみ、規約に定めることによって65歳未満まで加入することが可能でした。

令和4年度の改正によって、令和4年5月以降は70歳未満であれば確定拠出年金企業型に加入できるようになりました。加入者年齢が拡大されることによって、確定拠出年金企業型の加入者の増加が期待できます。

確定拠出年金企業型の加入者がiDeCo(イデコ)に加入しやすくなる

  確定拠出年金企業型に加入していてiDeCoに加入する場合 確定拠出年金企業型と確定給付型に加入していてiDeCoに加入する場合
確定拠出年金企業型の事業主掛金(①) 55,000円以内 27,500円以内
iDeCoの掛金(②) 20,000円以内 20,000円以内
①+② 55,000円以内 27,500円以内

改正前の確定拠出年金企業型では、確定拠出年金企業型に加入している従業員が、iDeCo(イデコ)に加入するためには、労使が合意をしたうえで規約に定める必要がありました。

令和4年度の改正によって、令和4年10月以降は、確定拠出年金企業型の加入者が、特定の規約がなくても原則iDeCo(イデコ)に加入できるようになりました。

なお、確定拠出年金企業型のマッチング拠出を選択している場合は、iDeCo(イデコ)に加入することはできません。マッチング拠出を採用している企業にお勤めの方は、マッチング拠出かiDeCo(イデコ)かどちらかに加入するかを選択することになります。

また、確定拠出年金企業型の事業主掛金とiDeCo(イデコ)の掛金の合計額が、上記の表の金額以下であることが条件となります。

確定拠出年金企業型改正にともなう注意点

確定拠出年金企業型の改正にともなって、実はiDeCo(イデコ)の改正も行われています。確定拠出年金企業型の改正にともなう注意点として以下の2つを解説します。

  • 老齢給付金を受給した場合
  • iDeCo(イデコ)の加入年齢拡大

老齢給付金を受給した場合

確定拠出年金企業型や、iDeCo(イデコ)の老齢給付金を受給した場合には、加入要件を満たしていても確定拠出年金企業型、iDeCo(イデコ)のいずれにも再加入することができなくなります。

また、公的年金を65歳より前に繰り上げ請求した場合も同様に、加入要件を満たしてもiDeCo(イデコ)に加入することはできません。

iDeCo(イデコ)の加入年齢拡大

令和4年度の確定拠出年金企業型の改正によって、iDeCo(イデコ)もさらに加入しやすくなりました。改正前のiDeCo(イデコ)では、加入者の年齢は20歳以上〜60歳未満となっていましたが、令和4年5月以降は65歳未満まで加入可能です。

ただし、iDeCo(イデコ)は加入要件の1つとして「国民年金の被保険者であること」があるため、フリーランスや自営業の場合は、国民年金の納付月数が40年(480ヵ月)に満たない人が加入する任意加入制度の利用が必要となります。

なお、お勤めの方で、定年後も雇用延長で厚生年金の被保険者として働く場合は、国民年金の被保険者に該当するため、iDeCo(イデコ)に65歳まで加入することが可能です。

まとめ

令和4年度の改正によって確定拠出年金企業型は今までよりも使いやすくなり、iDeCo(イデコ)との併用もしやすくなりました。国が老後の資産形成の後押しをしていることがわかります。

しかし、公的年金を繰り上げ受給してしまったり、60歳で会社を定年退職して国民年金の任意加入者でもない場合などは、iDeCo(イデコ)に加入できません。

一旦決めてしまうと後戻りができないため、早いうちに老後に向けてのライフプランを作成し、何歳まで働くかなどの計画を立てておく必要性があります。

国の複雑な年金制度なども関係するため、難しくてわからない場合には、アイマークまでお気軽にご相談ください。

確定拠出年金企業型のターゲットイヤーファンドはおすすめか?その内容を解説

こんにちは、確定拠出年金相談ねっと 認定FP

アイマーク株式会社 代表の村松です

確定拠出年金企業型の中には、ターゲットイヤーファンドという商品があります。自動的に配分比率を変更してくれる便利な商品と考えて、安易に選択をしている人がいるかもしれません。

こうした人がいれば、考え直す必要があります。この記事では、バランスファンドのうちターゲットイヤーファンドに着目し、商品の特徴と、確定拠出年金企業型全体の商品選びの考え方について解説します。

ターゲットイヤーファンドとは

確定拠出年金企業型の商品の中には、国内債券投資信託、海外債券投資信託、国内株式投資信託、海外投資信託などがあります。

しかし、どの投資信託を選んでいいかわからないという人が多いため、投資初心者向けに投資信託を組み合わせたバランスファンドが用意されているのです。

バランスファンドの種類には、主に以下の3種類があります。

  • アセットミックスファンド
  • リスクコントロールファンド
  • ターゲットイヤーファンド

ターゲットイヤーファンドは、3種類ある主なバランスファンドのうちの1つという位置付けです。

ターゲットイヤーファンドの特徴

ターゲットイヤーファンドは、運用開始時点ではリスクをともなう比較的積極的な投資を行い、運用期間の経過とともに配分割合を徐々に見直していきます。年を重ねることで、リスク許容度が低くなるため、運用期間の経過とともに消極的な投資へとシフトしていきます。

通常、配分割合は自分で変更する必要がありますが、ターゲットイヤーファンドは運用期間に応じて自動的に配分割合を変更してくれるため、完全お任せの商品となっているのです。

ターゲットイヤーファンドのメリット

ターゲットイヤーファンドのメリットは以下の通りです。

  • 長期間、運用をプロにお任せできる
  • バランスファンドなので分散投資効果があり、比較的リスクを抑えて運用できる

ターゲットイヤーファンドのデメリット

一方、ターゲットイヤーファンドのデメリットです。

  • 運用側は手間がかかるため、信託報酬が高くなる
  • 完全お任せにすると、投資商品を選定する技術が養われず、投資の知識が磨かれない
  • もっと利回りの良い商品があり、機会損失が発生している可能性がある

ターゲットイヤーファンド以外のバランスファンドの特徴

ターゲットイヤーファンド以外のバランスファンドである「アセットミックスファンド」と「リスクコントロールファンド」についても簡単に解説していきます。

アセットミックスファンドとは、複数の資産の配分比率が予め決まっているバランスファンドです。金融機関によっては、配分比率固定型と呼ばれることがあります。

リスクコントロールファンドとは、経済情勢や目標とするリスク、リターン水準に応じて配分比率を変更するバランスファンドです。金融機関によってはアロケーション型と呼ばれることがあります。

いずれもターゲットイヤーファンドと同様に、信託報酬が高いことや機会損失が発生することが大きなデメリットとしてあげられます。

確定拠出年金企業型の運用商品で最もリスクが高いのは?

引用元:運用目標を立てよう!確定拠出年金を上手に運用するコツ|りそなグループ参考
https://www.resonabank.co.jp/nenkin/ideco/column/tips-of-401k.html

バランスファンドの仕組みを理解するために、確定拠出年金企業型における商品のリターンとリスクの関係を確認しておきましょう。

確定拠出年金企業型の運用商品は大きく以下の2つに分けられます。

元本確保型商品 定期保険、保険商品など
元本変動型商品 株式投資信託、債券投資信託、REIT(不動産投資信託)など

各資産のリターンとリスクの関係はおおよそ以下のように分類されます。投資においてはリターンとリスクは表裏一体の関係にあり、大きなリターンを得るためには、高いリスクを取ることが必要です。

リスクが高い 外国株式投資信託
リスクがやや高い 国内株式投資信託、海外REIT
ミドルリスク 国内REIT、外国債券投資信託
リスクがやや低い 国内債券投資信託
満期まで持っていれば元本割れをしない
(最もリスクが低い)
元本確保型商品

元本確保型商品が最もリスクが低く、債券投資信託、REITと徐々にリスクは上昇し、そして株式投資信託が最もリスクは高くなります。また、国内の商品と海外の商品がある場合には、海外商品の方がリスクは大きくなります。

配分割合を変更して投資のリスクとリターンは自分でコントロールする

最もリスクの高い商品は外国株式投資信託ですが、最もリターンが得られるのも外国株式投資信託ということです。

確定拠出年金企業型の毎月の掛金のうち、株式投資信託の比率を多めに運用している人ほど、リスクはあるものの、大きなリターンが期待できる運用ができています。

逆に、毎月の掛金の全てを元本確保型商品や債券投資信託などの商品で運用している人は、リスクはほとんどありませんが、リターンも少ない運用になります。

確定拠出年金企業型では運用商品を自分で変更できるため、自分のリスク許容度を把握して、リスクとリターンを自分でコントロールしなければなりません。

リスクとリターンをコントロールすることを諦めて、安易にターゲットイヤーファンドに全てを任せきることは避けるべきです。

投資のリスク許容度の判断方法

確定拠出年金企業型の商品を選択する場合には、自分のリスク許容度を考慮して選択するのがおすすめです。

リスク許容度とは、運用益がマイナスになってしまった場合、マイナスをいくらくらいまで受け入れることができるかという目安のことです。リスク許容度は、以下の5点から判断できます。

  • 年齢
  • 資産状況
  • 投資経験
  • 家族構成
  • 投資に関する考え方

年齢

投資は長期間運用を続けるとリスクを抑えることができます。確定拠出年金企業型は最大70歳までの運用が可能であり、若い人ほどリスク許容度は高いとされています。

資産状況

不動産、株式、莫大な預貯金などがある人は、確定拠出年金企業型の運用に失敗しても、資産が少ない人よりも、資産全体での被害は少なくなります。そのため、資産が多い人ほどリスク許容度は高くなります。

投資経験

一般的に投資経験が長い人ほど、運用商品の暴落や暴騰に対する理解があると考えられます。そのため、投資経験が短い人ほどリスク許容度は低くなり、投資経験が長い人ほどリスク許容度は高くなります。

家族構成

家族が多いほど生活資金などの支出が増えるため、家族構成もリスク許容度に影響を与えます。養う家族が多いほどリスク許容度が低くなり、独身の人ほどリスク許容度が高くなります。

投資に対する考え方

積極的な運用をして大きく増やしたい人は、リスク許容度は高くなり、元本割れは絶対したくないという人は、リスク許容度は低くなります。リスク許容度は、自分の性格にも関係します。

まとめ

ターゲットイヤーファンドは、どの運用商品を選べばいいかわからない人のための商品であり、自分の年齢に応じて配分割合に変更してくれるため、人によっては、満期まで保有し続けることもあります。

しかし、ターゲットイヤーファンドよりも大きなリターンを出している投資信託は意外とあります。資産を大きく増やせるチャンスを失っている可能性もあり、ターゲットイヤーファンドを選択して、任せきりの運用をすることはあまりおすすめできません。

どの運用商品を選んだら良いかわからないという理由で、ターゲットイヤーファンドなどのバランスファンドを選んでいるのであれば、運用商品の見直しが必要です。難しくてわからない場合には、アイマークまでお気軽にご相談ください。

デフォルト商品とは?概要やリスクをわかりやすく解説

こんにちは、確定拠出年金相談ねっと 認定FP

アイマーク株式会社 代表の村松です。

今回は、確定拠出年金企業型のデフォルト商品に関するお話です。

確定拠出年金企業型に加入しているけれど、運用商品を選択した記憶が全くないということはありませんか?もしかしたら、気が付かないうちにデフォルト商品を選んでいるかもしれません。

デフォルト商品は運用リスクが少ない傾向にありますが、老後の資産形成という面では不十分な可能性があります。

この記事では、「デフォルト商品とは何か?」と「デフォルト商品の危険性」について詳しく解説します。

デフォルト商品とは?

デフォルト商品とは、加入者が期日までに運用商品の選択を提出しなかった場合に自動選択される商品のことです。

確定拠出年金企業型では、具体的な運用商品の選定を加入者自らが行う必要があります。

確定拠出年金企業型の商品選定方法

確定拠出年金企業型の商品を選択する場合には、運用商品が記載されている書類に、配分割合を記入するのが一般的です。配分割合を記入した後、総務などの担当部署に提出します。

また、企業によっては、確定拠出年金企業型の専用サイトで、配分割合を入力する場合もあります。

ただし、この配分割合を決める手続きは、期日が決められているのです。

仮に、定められた期日までに配分割合を提出または入力せず、投資先を指定しなかった場合、自動的に掛金の100%がデフォルト商品に投資されます。

デフォルト商品が選択される場合の具体例

デフォルト商品が選択される場合の具体例を、運用商品が以下の場合の事例で解説します。

  • 運用商品A(デフォルト商品)
  • 運用商品B
  • 運用商品C
  • 運用商品D
  • 運用商品E
  • 運用商品F

この事例の場合、運用する商品の割合を「運用商品A10%、B30%、C30%、F30%」などのように自分の好きな割合に設定できます。

しかし、期日までに配分割合を記入して提出しなかった場合には、デフォルト商品である運用商品Aに掛金の100%が投資されることになるのです。

デフォルト商品の選定状況

引用:2020(令和2)年度 確定拠出年金実態調査結果 P10 | 企業年金連合
https://www.pfa.or.jp/activity/tokei/files/dc_chosa_kessan2020_1.pdf

企業年金連合会「確定拠出年金に関する実態調査2020」にて、指定運用方法(デフォルト商品)が選択されている割合を調査したところ、40.5%の企業が指定運用方法(デフォルト商品)を選定していると回答しています。

指定運用方法(デフォルト商品)を選択している企業のうち、75.7%が指定運用方法(デフォルト商品)に元本確保型商品を選択しており、投資信託を選択しているのが23.6%です。

投資信託を選択している人のほとんどは、バランス型投資信託を選択しています。

デフォルト商品が自動的に選択される理由

配分割合の選択がなかった場合に、比較的安全な資産であるデフォルト商品が自動的に選択されるのは、加入者の掛金がリスク資産に投資されることがないようにするためです。加入者の希望を聞かずに運用商品を選択するのであれば、元本割れの可能性はできるだけ少なくしなければなりません。

確定拠出年金企業型は、掛金が同じであっても、運用次第で退職時の受取金額が大きく変わってくるため、商品選択は極めて重要です。

デフォルト商品の危険性とは?

デフォルト商品には、掛金の元本が確保される「元本確保型商品」や、投資信託の中でもリスクの低い「バランス型投資信託」が設定されているため、大きな危険は生じません。

ここでは、デフォルト商品として「元本確保型商品」や「バランス型投資信託」が選択された場合のリスクについて解説します。

資産価値が目減りする可能性がある

投資の世界では「リスクとリターンは表裏の関係にある」という原則があります。つまり、大きな利益を投資で得るためには、リスクの高い商品を選ぶ必要があるということです。

元本確保型商品や利回りが低めのバランス型投資信託はリスクの少ない商品であるため、大きなリターンが期待できません。

利回りの低い運用をしていると、世の中の物価が上昇した場合に資産の価値が目減りしてしまうことがあります。

安全な商品で運用することは、目に見えた損失が発生しないだけで、リスクが全くないわけではないのです。

やみくもにリスクを背負ってリターンを追い求めるのではなく、老後の生活資金が公的年金を加味していくら不足するかをしっかり把握したうえで、運用商品を選択するよう心がけてください。

適切な商品分散ができていない可能性がある

アセットミックス型以外のバランス型投資信託として、資産配分が年を経るごとに安全な配分に変更していく「ターゲットイヤー型」と、市場環境に応じて資産配分が変動する「リスクコントロール型」があります。

いずれも極端に言えば、ほったらかしにできてしまう商品です。

しかし、バランス型投資信託に頼らなくても、自分で投資割合を調整して、分散投資をすることは可能です。

確定拠出年金企業型の商品ラインナップの中には、大きなリターンを得られる商品もあります。リスクを過度に恐れて、安易にデフォルト商品を自動選択し続けるのは避けるべきでしょう。

リターンの大きい商品はリスクが高いので、商品の分散、時間の分散、長期投資の3つを活かすことが重要です。

一見難しく感じるかもしれませんが、確定拠出年金企業型という制度自体が長期投資であり、毎月定額の購入であり時間の分散が働いているため、加入者の方が意識すべきなのは、商品の分散だけになります。

まとめ

確定拠出年金企業型に加入したら、加入者は拠出される掛金の投資先や配分割合を決定して期日までに提出しなければなりません。

期日までに配分割合等の選択がなかった場合には、デフォルト商品となってしまうことがあります。デフォルト商品にはリスクの少ない商品が設定されますが、リスクが少ないためリターンも少なくなります。

すでにデフォルトで運用している人も、配分割合の変更は無料でいつでもできるのでご安心ください。

確定拠出年金企業型の商品を選ぶ場合には、ライフプランを作成して、老後の生活資金がいくら不足するかを知ったうえで選択することが重要です。

もし自分で計算することが難しい場合は、お気軽にアイマークまでご相談ください。

確定拠出年金企業型の導入で得られる従業員のメリットとは

こんにちは、確定拠出年金相談ねっと 認定FP

アイマーク株式会社 代表の村松です。

確定拠出年金企業型は、従業員の老後の資産形成を後押しするために企業が用意できる制度です。この制度のもと、従業員は掛金や運用益が非課税になるといった税制メリットを受けられます。この記事では、確定拠出年金企業型の導入による従業員のメリットについて詳しく解説します。

確定拠出年金企業型のメリット

ここでは確定拠出年金企業型のメリットと効果について紹介します。

積立掛金が非課税になる

確定拠出年金企業型に拠出する掛金には税金がかかりません。毎月2万円運用する場合を事例に積立掛金非課税のメリットを見ていきましょう。事例では、以下の2パターンを比較していきます。

  1. 確定拠出年金企業型に拠出した場合
  2. 給与で受け取った場合

確定拠出年金企業型に毎月2万円の掛金を拠出した場合、2万円×12ヵ月=年間24万円を運用することができます。

一方で、24万円を給与として受け取る場合、税金と社会保険料が差し引かれます。
年収600万円、配偶者あり、子ども1人の場合にかかる税金や社会保険料は合計約17%。したがって、給与で受け取った場合、24万円×約17%=約4万円の税金と社会保険料が差し引かれてしまうのです。

上記の2パターンを比較すると、実質受取金額に年間約4万円もの差が生じることがわかります。確定拠出年金企業型制度を活用すると、税金・社会保険料を節税しながら老後の備えが可能なのです。

運用益が非課税になる

確定拠出年金企業型は、運用中に利息や配当、運用益が発生した場合でも、その利益に対して税金がかかりません。これを運用益非課税といいます。

通常の資産運用では、利益がでるとその利益に対して20.315%の税金がかかります。しかし確定拠出年金企業型の運用で得た収益に税金はかからず、運用益も含めてそのまま再投資できるのです。

たとえば、毎月1万円を利回り2%で運用した場合、30年後に受け取れる金額は以下のとおりです。

  • 通常の資産運用:約461万円
  • 確定拠出年金企業型:約492万円

このように、運用益に20.315%の税率がかかるかどうかで将来の受け取り金額が約30万円異なります。

好きな運用方法を選択できる

企業の退職金制度は、すでに企業内で運用方針が決まっており、自分で選択することができません。

一方、確定拠出年金企業型は用意されている複数の運用商品の中から、自分で自由に商品を選んで運用していきます。

毎月10,000円の掛金がある場合、商品Aに3,000円、商品Bに5,000円、商品Cに2,000円というように分散して投資もできますし、商品Aのみに10,000円を全て投資することも可能です。

自分で商品を組み合わせられるため、ハイリスク・ハイリターンの運用や、満期まで持っていれば元本割れしない元本確保型商品での運用など、自分なりの投資スタイルや投資目標を掲げて運用することができます。

とはいえ、自分で投資スタイルを選べるということは、リスク管理まで自己責任で行わなければなりません。自分のリスク許容度をしっかり確認し、適切な投資スタイルを選択しましょう。

企業側のメリット

確定拠出年金企業型を導入すると、企業側にも以下の3つのメリットがあります。

  1. 社会保険料負担が減る:社会保険料は労使折半なので、従業員の掛金に社会保険料がかからないことで、企業側の社会保険料負担も減少することがあります。
  2. 退職金準備が不要:退職金制度を全て確定拠出年金企業型に移行できれば、従業員の退職金準備をする必要がなくなります。
  3. 企業会計からの退職金補填が不要:運用難により、規定額の退職金を用意できない場合、企業会計から補填をする必要がありますが、その心配がなくなります。

確定拠出年金企業型のデメリット

メリットの豊富な確定拠出年金企業型ですが、以下のデメリットも存在します。

60歳まで引き出せない

確定拠出年金企業型は、一部の例外を除いて60歳まで現金を引き出すことはできません。また、会社を辞めたとしても、60歳まで受け取ることはできません。

60歳より前に退職する場合は、その後の運用について以下の選択肢から検討しましょう。

転職先に確定拠出年金企業型がある場合 資産を持ち込み継続運用
転職先に確定拠出年金企業型がない場合 脱退一時金または確定拠出年金個人型(iDeCo)へ加入し継続運用
個人事業主・専業主婦(夫)になる場合

運営管理機関を自由に選べない

確定拠出年金企業型の運営・管理をする機関を運営管理機関といい、銀行や保険会社などの金融機関が担っています。この運営管理機関は企業が指定していることが多いので、従業員が選ぶことはできません。

運用管理機関が選べないことによるデメリットは以下のとおりです。

  • 購入したい商品がない場合もある
  • 自分の意志で商品を選べないこともある
  • 手数料や管理費などが安いところを選択できない

なお、確定拠出年金個人型(iDeCo(イデコ))の場合は、金融機関も自分で選んで加入ができます。

確定拠出年金企業型は従業員の税制メリットが大きい

確定拠出年金企業型は、掛金非課税・運用益非課税・受取時の税制優遇という3つの大きな税制メリットを備えているため、投資初心者でも安心してスタートできる仕組みです。

もちろん投資初心者以外も、いろいろな投資商品を購入する前に、確定拠出年金企業型の掛金の枠を最大限活用する方が運用効率は高まるでしょう。
確定拠出年金企業型について、より詳しく知りたい場合は、一度専門家に相談してみるのもおすすめです。

アイマークでは日頃から資産運用に関するセミナーを定期的に開催しており、疑問や不安も専門家へ直接質問が可能です。ぜひ、以下のセミナー情報よりご希望の内容や日時を確認してみてください。

セミナー情報はこちらからご覧ください。

60歳より前に退職した場合の確定拠出年金企業型は?

こんにちは、確定拠出年金相談ねっと 認定FP

アイマーク株式会社 代表の村松です。

確定拠出年金企業型は、原則60歳まで受け取れません。しかし、60歳より前に会社を退職して、違う会社に所属する場合、確定拠出年金企業型はどうなるのでしょうか?

結論から言うと、確定拠出年金企業型がある企業へ転職する場合も、自営業や専業主婦(夫)になる場合も共に運用を継続することができます。

この記事では、確定拠出年金企業型のある企業を途中退職した場合の手続きの流れや注意点を解説しています。

退職時は転職先に確定拠出年金企業型があるかチェック

現在、確定拠出年金企業型で運用している人は、退職前に今後の運用方法を検討しましょう。

転職先に確定拠出年金企業型がある場合

転職先に確定拠出年金企業型制度があり、なおかつ本人にも加入者資格がある場合は、新しい勤務先の確定拠出年金企業型の加入者となることができます。

加入に必要な手続きは転職先の規定に基づくため、担当部署に確認するようにしましょう。

転職先に確定拠出年金企業型がない場合

転職先に確定拠出年金企業型がない場合は、確定拠出年金個人型(iDeCo(イデコ))の加入者、または運用指図者※1)への移換もしくは脱退一時金制度を受けることとなります。

なお、確定拠出年金企業型の場合、運用の窓口となる運営管理機関は会社ごとに決まっていますが、確定拠出年金個人型(iDeCo(イデコ))は自分で運営管理機関となる金融機関を選んで、口座開設をしなければなりません。

※1)運用指図者とは毎月の掛金を拠出せずに運用だけ行う人のことです。60歳以降で定年退職をしている社員や失業で掛金を拠出できず、拠出をストップするケースがあります。
なお、運用指図者に対して、毎月掛金を拠出している人を加入者といいます。

脱退一時金に関しては記事後半で詳しく解説します。

退職後に公務員や自営業、専業主婦(夫)になる場合

公務員や自営業、専業主婦(夫)には確定拠出年金企業型はありません。そのため、それぞれ確定拠出年金への加入を希望する場合は確定拠出年金個人型(iDeCo(イデコ))に加入する必要があります。

転職・退職後に必要な移換の手続きとは

60歳より前に確定拠出年金企業型のある企業を退職しても、これまで積み立てた金額を退職金として受け取れるわけではありません。
確定拠出年金企業型制度のある企業へ転職した場合や、iDeCo(イデコ)に移換する場合の確定拠出年金の扱いについて解説します。

転職先の確定拠出年金企業型への手続き方法

手続き先 新しい勤務先
手続き期限 資格喪失日の翌月から6ヶ月以内
手数料
  • 旧勤務先の移換手数料
  • 新勤務先の移換手数料

転職先の確定拠出年金企業型に移換する場合は、新しい職場の担当者から「個人別管理資産移換依頼書」をもらい必要事項を記入して提出します。

なお、前の勤務先で選んでいた運用商品は一度現金化されて、デフォルト商品(何もしなければ自動選択される商品)に資産が配分されてしまいます。

希望する運用商品とは異なった商品に資産配分されていることがあるため、その場合は、移換完了の通知が届いたと同時に商品の資産配分を変更しましょう。

さらに、以前の勤務先と、新しい転職先では運営管理機関や取扱い運用商品が異なるため、改めて商品知識の習得が必要になることが考えられます。

確定拠出年金個人型(iDeCo(イデコ))への手続き方法

手続き先 自分で選択した運営管理機関(受付金融機関)
手続き期限 資格喪失日の翌月から6ヶ月以内
手数料
  • 旧勤務先の移換手数料
  • 国民年金基金連合会への移換手数料

iDeCo(イデコ)に移換する場合は、自分で手続きを行う必要があり、転職先に確定拠出年金企業型がない場合や、自営業・専業主婦(夫)になる場合などが該当します。

まずは自分で選択した運営管理機関からiDeCo(イデコ)に加入し、確定拠出年金企業型の資格喪失から6ヵ月以内に資産移換の依頼まで完了させましょう。

前にも述べましたが、iDeCo(イデコ)は各金融機関で取り扱っており、運営管理機関を自由に選ぶことができます。手数料や自分にあった商品ラインナップを比較しながら、iDeCo(イデコ)口座を開設する金融機関を選びましょう。

なお、金融機関に申込の際に予め移換が必要なことを伝えておけば、口座開設の書類と同時に「個人別管理資産移換依頼書」を郵送してもらえます。

申込~口座開設までは、約1〜2ヵ月かかることを想定しておきましょう。

6カ月以内に手続きを行わないと運用されずに現金へ自動移換される

確定拠出年金企業型でもっともやってはいけないことの1つが、6ヶ月以内に手続きをしないことです。
転職先への確定拠出年金企業型、もしくはiDeCo(イデコ)への移換のいずれの場合も、退職後6ヵ月以内に移換をしなかった場合は資産が現金化され、国民年金基金連合会に自動移換されてしまいます。

現金化されているため運用もされていません。さらに、自動移換をされると以下のような手数料がかかります。

手数料の内容 税込手数料 詳細
特定運営管理機関への移換手数料 3,300円 特定運営管理機関に自動移換される時の手数料
自動移換に関する事務手数料 1,048円 特定運営管理機関に自動移換される時に、国民年金基金連合会に徴収される手数料
特定運営管理機関手数料 52円/月 特定運営管理機関に移換されてから4ヵ月後の月末までに移換などの手続きがされていない場合、以降毎月徴収される手数料。
特定運営管理機関からの移換手数料 1,100円 特定運営管理機関から転職先の確定拠出年金企業型またはiDeCo(イデコ)に移換するときにかかる手数料

自動移換をされると、それだけでも3,300円+1,048円=4,348円の手数料がかかります。
また、4ヵ月目以降からは毎月52円の管理手数料が、さらに転職先の確定拠出年金企業型やiDeCo(イデコ)に移換し直す際に1,100円がかかります。

また、自動移換の間は老齢給付金の受給要件である通算加入者期間に算入されないため、長期間置いておくと60歳からも受け取れなくなる可能性があるため注意が必要です。
自動移換にならないようくれぐれも気を付けて、退職後はすぐに移換手続きをするように心がけてください。

転職先の会社によっては企業型と個人型の同時加入も可能

企業によっては、確定拠出年金企業型とiDeCo(イデコ)の同時加入を認めているところもあります。
確定拠出年金企業型は金融機関を選べませんが、iDeCo(イデコ)は自分の好きな金融機関を選べます。
また、確定拠出年金企業型とiDeCo(イデコ)の同時加入によって、老後に向けての資産形成がより加速しますが、iDeCo(イデコ)は毎月自己負担の手数料がかかります。一方、確定拠出年金企業型は手数料は会社負担で運用可能な点を抑えておきましょう。

同時加入を検討する場合は、手数料負担も含めてiDeCo(イデコ)が本当に必要か、充分に検討する必要があります。

要件は厳しいが退職時に解約も可能

確定拠出年金企業型は60歳までは解約できません。しかし、要件は厳しいものの解約して脱退一時金を受け取ることが可能なケースもあります。

解約をして脱退一時金を受け取るための要件は以下の通りです。

確定拠出年金企業型から脱退一時金を受け取る
  • 確定拠出年金企業型の加入者・運用指図者、またはiDeCo(イデコ)の加入者・運用指図者でないこと
  • 確定拠出年金企業型の個人別管理資産が1.5万円以下であること
  • 確定拠出年金企業型の加入者資格を喪失した日(退職日の翌日)から6ヵ月を経過していないこと
iDeCoから脱退一時金を受け取る
  • 国民年金の第1号被保険者で、保険料の納付が一部または免除されていること
  • 障害給付金の受給権者でないこと
  • 通算拠出期間が1ヵ月以上3年以下、または、個人別管理資産が25万円以下であること
  • 確定拠出年金企業型またはiDeCo(イデコ)の資格喪失日から2年を経過していないこと
  • 確定拠出年金企業型から脱退一時金の支給を受けていないこと

上記の要件を満たした場合のみ、確定拠出年金企業型を解約して脱退一時金を受け取ることが可能です。

移換先に悩んだら専門家のセミナーへ参加してみよう

確定拠出年金企業型のある企業を60歳までの間に退職した場合、次に行く会社に同制度があれば、転職先の担当部署で移換手続きを行います。

また、転職先に確定拠出年金企業型がない場合や個人事業主・専業主婦(夫)になる場合は、iDeCo(イデコ)に加入することで継続して運用ができます。

資格喪失から半年以上何もしないと自動移換されてしまい、手数料が引かれ運用ができなくなる点に注意し、速やかに移換の手続きを済ませましょう。

不明な点があれば専門家への相談やセミナーの参加がおすすめです。