(2024.8.15追記)
公立高校の倍率1倍割れに
公立高校の受験が終わりましたね。ほっとされている親御さんも多いのではないでしょうか?
静岡県は歴史的に公立高校が優位な地域でしたが、今年の志願倍率は0.99倍、1倍を下回り過去最低と報じられました。
この背景にあるのが「私立高校の授業料の実質無償化」です。
学費が高いから…と、私立高校への進学をあきらめていた世帯も進路の選択肢が増え、私立高校への進学希望者が急増しています。
この支援制度、お住まいの地域によって、年収基準や内容に違いがあることをご存じですか?
今回は、静岡県の最新情報をくわしくご紹介します。
「私立高校の授業料実質無償化」までの経緯
まず、2014年に公立高校の授業料無償化がはじまりました。この時には、公立私立も、ほぼ同額の年間12万程度の支援金。そのため、私立高校に通っているご家庭は、不足分を負担しなければいけませんでした。
2020年になり、私立高校の平均授業料の相当額まで支給額が引き上げられ、基準を満たす家庭では、実質「無償化」となりました。
現在は、平均授業料相当額、年間396,000円が、一定の基準内の家庭に支給されています。
基準を満たしていないと「無償化」になりません
無償化になるかどうかは、世帯年収で決まります。
4人家族で、高校、中学の子供がいて、1人が働いている世帯をモデルケースとして、
年収590万未満の世帯には、年間396,000円
年収910万未満の世帯には、年間118,000円
が、国の就学支援金として支給されます。
年収590万以上の世帯は残念…と思うのは、まだ早いです。
実は、国からの就学支援金に重ねて、都道府県独自の授業料支援制度がある地域もあります。
静岡県は、年収590万以上、年収750万未満の世帯にも支援されることになりました。
静岡県は、2022年度から年収800万未満の世帯まで拡充、2024年度から年収850万未満の世帯まで拡充されることになりました。
※あくまでモデルケースの場合です。家族構成、扶養の人数、控除など、各家庭で違いますので、一概に年収で判断できませんので、ご注意ください。
静岡県は年収700万、850万未満の世帯も対象に
静岡県では、年収590万以上の世帯でも、年収700万未満または、850万未満の世帯も支援対象になります。
今までも、年収590万~700万未満の世帯には、国の就学支援金(年118,800円)に上乗せして、県から授業料支援金(年277,200円)を支給していましたが、2021年度からは、年収700万~750万未満の世帯にも、静岡県から授業料支援金(年79,200円)が支給されるようになり、2022年度からは年収800万未満まで、2024年度からは年収850万未満までが対象となりました。
2024年度~基準変更しました!
年収700万未満の世帯には、年間396,000円
年収850万未満の世帯には、年間198,000円
年収910万未満の世帯には、年間118,000円
国の制度しかない地域もありますので、静岡県民は恵まれていると思います。
ですが…2024年度から東京都は所得制限を撤廃しましたね!
ご夫婦ともに正社員の場合、制限オーバーしてしまう家庭も多くなっています。
東京都民はうらやましいです。
我が家は無償化になるの?
ここで言っている「年収」は、あくまでモデルケース。4人家族、高校、中学のお子さんがいて、1人が働いているという設定です。
現在、私はファイナンシャルプランナーとして多くの家庭のご相談を受けていますが、モデルケースのような家庭に出会うことが、ほとんどありません。実際は、共働き世帯が多く、2人とも正社員として家計を支えている家庭、お子様の成長とともに専業主婦からパート、正社員へと働き方を変えていく方が多いです。
それぞれの家庭によって、ご夫婦の年収、子供の人数、扶養家族の年齢や人数、控除額など、状況が全く違いますので、実際に無償化の対象になるかどうかは調べてみないと分かりません。
では、何を調べれば分かるのでしょうか?
住民税所得割額の計算から導き出す数字が、基準内に収まっているかどうかを調べると分かります。詳しいファイナンシャルプランナーにご相談いただくといいでしょう。
調べたら無償化対象外だった…でも、あきらめないで!
もし、無償化の基準内に入らなかった家庭でも、チャンスがあります!
所得控除を有効に使うことで、所得を減らし、基準値を下げることが可能です。iDeCoや個人年金保険などの所得控除を増やすことで、無償化の対象を目指すことが出来ます。
対象の所得控除については、毎年変更になっており、今までは使うことが出来た「ふるさと納税」や「住宅ローン控除」の調整控除は、現在は対象外になっています。
最新の情報をチェックし、対策をすることが大切です。
実際にあったA様のケース
A様は弊社の古くからのお客様で、長女が高校進学を目前に、私立高校無償化のご相談に来られました。中3(早生まれ)の長女の次にも、あと2人のお子様の進学を控えており、私立高校無償化の基準に入るかどうか調べて欲しい、基準内に入るよう対策をしたいというご依頼でした。
A様は共働き、奥様は扶養から外れてパート収入を得ています。扶養家族はお子様3人のみ。お二人の源泉徴収票をお持ちいただき計算したところ、今のままでは基準を出てしまうことが判明。
年間30万円の所得控除が必要と分かりました。
【ご提案した2つの対策】
① iDeCoで毎月23,000円積立することで、276,000円の所得控除
② 個人年金保険に加入、使っていなかった個人年金保険料控除を使い、28,000円の所得控除
この対策の結果、合計304,000円の所得を減らすことが出来ました。
A様はすぐに実行されましたが、効果が出るのは来年です。1年間の年収が翌年の住民税に反映するためです。
A様は、長女の1年目の授業料には間に合いませんでしたが、2年目からは無償化の対象になるでしょう。また、次に続く2人のお子様も現状維持していけば、無償化の範囲内でいられると思われます。
このように、所得控除を使った対策は、すぐに効果が出ないものですので、私立高校無償化を考えている方は、早めにご相談をされるといいでしょう。遅くとも、お子様が中学3年になる前には、対策を取るといいと思います。
アイマーク株式会社では、私立高校無償化のご相談も受け付けております。
お気軽にお問合せください。
↓ 特に、注意したいポイントをまとめました。こちらも、ご確認ください。
↓ 無償化の対象になったのに、私立高校ってこんなにかかるの?
具体的にどのくらいのお金がかかるのか把握しておきましょう。
ファイナンシャルプランナー 伊藤