日本の1人当たり労働生産性は国際的にみて、どのような位置にあるかご存知ですか?
テレビなどのニュースでも良く取り上げられているので、国際的にあまり良くない位置にいることは多くの方がご存知だと思います。
現在、OECD加盟国35ヵ国中21位の成績です。
このデータをもとに、日本人は生産性が低い。なおかつ、労働時間が長すぎるので、ワークタイムバランスに基づき長時間労働を排除して、もっと時間あたりの生産性を高めるべきだという論調になります。
この位置の前後にどんな国がいるのか、この数値を発表している日本生産性本部のホームページから確認してみましょう。
2016年のデータが最新になりますが、日本の21位に対して、16位にスペインがあります。スペインが日本よりも生産性が高い?スペインと言えば、お昼にシエスタというお昼休みがあります。
ウイキペディアでシエスタを調べてみましょう。「伝統的なスペインの昼食の時間は、日本よりも遅い。しっかりした食事を摂った後に午睡となる。昼下がりの時間帯がシエスタ時間である。この時間帯(午後3時頃)は商店、企業、官公庁などの多くが休業時間となっており、しばしば事情を知らない外国人旅行者が戸惑うことになる。
オフィスワークの場合、シエスタの後は再び仕事に戻る。昼食と同様、夕食も日本よりも遅く、就寝時刻も遅い。しかし、朝は早い。つまり、シエスタをするからといって睡眠過多にはならない。睡眠時間の合計はシエスタなしの生活様式と大差ない。EU統合によって、北の諸国の習慣にあわせてシエスタの慣習を廃止する傾向がみられる。例えば、2006年1月1日よりスペインの公務員についてはシエスタ制度が廃止された。」
皆さんこの統計信じられますか?日本ってそんなに生産性が低いと思いますか?私は日本の21位が信じられないのです。そんなはずはない。勤勉で効率的に働いていると思うのです。そんなわけで、労働生産性がどのように計算されて、統計になっていくのかを確認してみることにしました。
まず、分母は労働者数ですから、働いていない主婦はカウントされていません。日本では主婦が働いていないから労働生産性の計算が不利になる。ということはありません。
次に、労働時間も影響しています。日本人の労働時間は国際的にみるとやはり、長時間になっているようですので、労働時間を削減することは今後労働生産性を上げるという観点からも絶対的に必要だと思います。シエスタでも採用してみましょうか?
では、分子に移りましょう。付加価値または生産量 とあります。付加価値にはどのようなものが含まれるのでしょうか?金利や資産運用で生み出される利益は付加価値にふくまれるのでしょうか?
そうです、含まれるんです。現在、日本はゼロ金利の状態です。この金利がもし2%で計算されれば、1829兆円の日本人の総資産は金利だけで、36.58兆円を生み出していくことになります。その力がほぼ利用できない日本は国際統計になると不利になるわけです。
さて、日本生産性本部のデータをじっくりみていくと、日本円で表記されている部分とドル建てで表記されている部分があります。ここに為替が絡んでいます。
冒頭のレジュメにもありますが、日本円で834万円をドルベースで81,777ドルとしています。為替は1ドルが101.98円で計算されているのがわかります。さて、この101.98円は何かというと、購買力平価という考え方から出てきていて、統計を作った時点での為替レートを使っているのではありませんと、発表した組織のHPに掲載されています。
この為替レートにおける日本円の評価が不当に低い(円安)場合、日本の労働生産性は実態よりも低く計算されることになります。購買力平価の話でよく出てくる、ビッグマック指数を使って購買力平価を考えていきます。
購買力平価の考え方では、一つのものはどこの国で買っても同一価格になるはずで、その差をうずめるのが為替となる。(一物一価)
その考え方に基づいて、どの国でもほぼ均一の品質と味のビッグマックを基準に為替レートを考えてみるわけです。
さて、日本のビッグマックは現在いくらでしょう?
こちらはマクドナルドに行くまでもなく、ホームページを確認すればすぐわかります。390円です。それに対して、米国のマクドナルドではビッグマックはいくらでしょうか?これがわからない!米国内において、そもそもビッグマックは一物一価ではないみたいです。ニューヨーク、カリフォルニア、バーモント州など場所によって価格に違いがあるみたいです。仕方がないので、ブログなどでビッグマック ニューヨークと検索してみると2018年1月23日にアップされた個人のブログに4.95ドルという情報がありました。これを採用してみましょう。もし、ニューヨークで買うビッグマックと東京で買うビッグマックが同じような感覚で買えるとしたら、為替レートは390円÷4.95で導けます。為替レートは78.79円となります。
これを採用して、日本の生産性を再計算してみましょう。
日本の1人当たり労働生産性は8,340,000円÷78.79円で105,851ドルとなります。この数値を持って統計に戻ってみましょう。一気にベルギーとオーストリアの間に割り込み順位も7位に上昇します。
為替レートが実態よりも不当に円安に導かれていたとしたら、日本の国際的位置は明らかに低下してしまうわけです。
日本の位置が低下すると、何か良いことでもありますか?
全く、良いことなどないと思います。
そんな説明よりも今から説明するように案内すれば、日本人の心に響き勇気が湧いてくると思うのです。
「現在は実態よりも円安に振れているので、日本のポジションは落ちていますが、心配しないでください。円高に振れれば、順位は簡単に挽回できます。
それよりも、私たちの眠ったままの資産を揺り動かし、付加価値としての金利を少しでも上げていくことで、労働生産性をもっともっと高めていきましょう。」
労働生産性は、円安とゼロ金利で不当に低く見られている。より生産性と運用で金利という付加価値を高めることで、来るべき円高局面では世界のトップレベルの生産性を誇る日本と言われるようになりましょう。
日本の生産性を不当に低く見せることは、日本人の国際的な対抗心を排除するのには役立ちますが、誇りを失い全く日本人にとっては意味がありません。
今の生産性にもう少し自信を持ってもよろしいのではありませんか?