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確定拠出年金企業型のバランスファンドが安全ではない理由

こんにちは、確定拠出年金相談ねっと 認定FP

アイマーク株式会社 代表の村松です。

確定拠出年金企業型の運用商品の中には、大抵の場合バランスファンドがあります。

確定拠出年金企業型の導入セミナーなどでは、元本確保型商品よりもバランスファンドをおすすめされることがあるため、バランスファンドを運用している人は多いかもしれません。

しかし、バランスファンドを理解せずに運用していると、資産を増やす機会を逃してしまう可能性が高くなります。この記事では、バランスファンドの基本的な内容と、バランスファンドを選ぶだけでは安全ではない理由について解説しています。

バランスファンドとは

確定拠出年金企業型の運用商品には、国内債券投資信託、海外債券投資信託、国内株式投資信託、海外投資信託などがあります。たくさんの投資信託があるため、どれを運用すれば良いかわからなくなります。

「バランスファンド」とは、運用商品を選べない投資初心者向けに作られた、複数の投資信託を組み合わせて運用する商品です。

バランスファンドのメリット

投資をしたことがないけれど、投資に挑戦してみたいという方にとって、バランスファンドは魅力的な商品にみえるでしょう。バランスファンドの、主なメリットを3つ紹介していきます。

  • 運用開始時の配分割合をプロに任せられる
  • 運用途中の配分割合の変更もプロに任せられる
  • 運用商品の分散効果がある

運用開始時の配分割合をプロに任せられる

バランスファンドや投資信託などは、投資のプロであるファンドマネージャーが、運用商品の方針に従って商品の運用をしています。

投資初心者は、個別株などを購入するよりも、ファンドマネージャーに運用してもらう方が安全に運用できます。

運用途中の配分割合の変更もプロに任せられる

リスクコントロールファンド(またはアロケーション型)や、ターゲットイヤーファンドなどのバランスファンドは、ファンドマネージャーが、経済情勢や運用期間などを考慮して、運用商品の配分割合を自動的に変更します。

運用商品の分散効果がある

投資信託はたくさんの株式や、たくさんの国の債券を含めて運用しているため、商品の分散投資の効果が働いています。

しかし、国内株式投資信託であれば、運用商品が国内株式に限定され、外国株式投資信託であれば、運用商品が海外株式に限定されます。

国内や国外に限定されることで、分散効果が薄れてしまうことを理解しておきましょう。

バランスファンドであれば、リスク許容度に応じた商品を1つ選択するだけで、国内外の債券や国内外のREIT(不動産投資信託)、国内外株式などを分散投資できます。

バランスファンドには、投資信託よりも効果的な分散効果があります。

バランスファンドの種類

バランスファンドは、主に以下の3種類に分類されます。

  • アセットミックスファンド(または、配分比率固定型)
  • リスクコントロールファンド
  • ターゲットイヤーファンド

それぞれの違いについて理解するために、株式と債券のリスクとリターンの関係を解説していきます。

株式と債券について

株式とは、資金を出資してくれた株主に対して発行する証券のことです。出資を受けた会社は、株主から出資された資金を活用して事業活動を行い、得られた利益を株主に還元します。

債券には、企業が発行する社債、国や地方自治体が発行する公債、金融機関が発行する社債などがあります。基本的に債券には満期があり、満期日に額面金額に利子を上乗せした金額が返済されるのです。

一般的に、株式の方が債券よりもリスクとリターンが大きく、債券の方が株式よりもリスクとリターンが小さい傾向にあります。

株式と債券のリスクとリターンの関係をふまえて、各バランスファンドの解説をしていきます。

アセットミックスファンド

アセットミックスファンドは、配分比率固定型ともいわれます。国内外の債券、株式、REIT(不動産投資信託)などで運用しますが、配分比率はあらかじめ決まっています。

例えば、アセットミックスファンド株式30%型という商品があったとすると、配分割合の30%を国内株式と外国株式で運用して、残りの70%を他の商品で運用します。

アセットミックスファンド株式70%型という商品の場合、配分割合の70%を株式で運用するため、リスクは高くなりますが大きなリターンを期待できる商品と推測できるでしょう。

配分比率の株式割合が大きくなるほど、投資のリスクとリターンが大きくなります。

リスクコントロールファンド

リスクコントロールファンドは、アロケーション型ともいわれます。経済情勢を考慮して、ファンドマネージャーが運用商品の配分割合を調整する商品です。

株式市場が好調な時は株式の配分比率を高めて、積極的な運用によってリターンを狙います。

反対に、株式市場が不調な時は株式の配分比率を減らし、債券の比率を高めることでリスクを抑えた安全な運用を行います。

ファンドマネージャーが運用商品の配分比率の変更を行うため、バランスファンドを購入した人は株式市場を確認する必要がありません。

ターゲットイヤーファンド

ターゲットイヤーファンドとは、運用当初に株式の配分比率が高い積極的な運用を行い、受取年齢に近づくにつれて債券比率を自動的に増やしていく商品です。

基本的に、投資は、運用期間の経過とともに、リスクをおさえた運用に切り替えていきます。確定拠出年金企業型の受取年齢である60歳や65歳が近づけば、元本を減らすような運用は避ける方が安全であるからです。

ターゲットイヤーファンドを運用していれば、年齢に応じて配分割合を変更する必要はありません。

バランスファンドの注意点

バランスファンドは、投資初心者や、運用結果を確認する時間がない人にとって便利な商品にみえます。しかし、バランスファンドを運用する上で、注意しておくべき点が2つあります。

  • 投資の知識が身につかない
  • リスクをおさえられるがリターンが小さくなる

投資の知識が身につかない

バランスファンドは、ファンドマネージャーが自動的に配分割合などを調整するため、運用していても、投資の知識が身につきません。バランスファンドを運用商品に選んで安心していると、投資初心者が成長することはありません。

リスクをおさえられるがリターンが少なくなる

バランスファンドを1つ運用していれば、分散効果によりリスクをおさえられますが、リターンも少なくなってしまいます。運用期間が長いのであれば、時間の分散効果を活用して、リスクの高い商品の運用も検討するべきです。

バランスファンドは、分散効果が働いていることで安心できる商品かもしれませんが、リターンを得られる機会を失っていることを理解しておく必要があります。

今後、高齢化が進むと、手元にある資金を効率よく運用することが重要になってきます。収入を得ながら運用ができる期間を、資産運用の練習期間と捉えて、自分の判断で運用商品を選んでみてはどうでしょうか。

まとめ

バランスファンドは、時間がない人や投資初心者にとっては非常に便利で安心できる魅力的な商品にみえます。しかし、バランスファンドを保有し続けることはあまりおすすめできません。

制度改正によって、受給開始年齢を75歳まで伸ばすことができ、加入期間も70歳までとなります。運用期間が長くなり、資産形成をしやすい環境が整うため、自分の判断で運用ができる人と、バランスファンドなどの商品に頼ってしまう人では大きく差がつくでしょう。

資産運用でわからないことがあれば、お気軽にアイマークまでご相談ください。

確定拠出年金企業型の節税効果とは?メリットとデメリットを解説

確定拠出年金相談ねっと 認定FP

アイマーク株式会社 代表の村松です。

確定拠出年金企業型は企業、従業員に節税効果がある税制上有利な制度です。

しかし、企業の掛金の負担などの要因から、導入している企業が大企業に偏っている印象があります。この記事では、確定拠出年金企業型の節税効果やメリット・デメリットについて解説しています。

確定拠出年金企業型とは

確定拠出年金企業型とは、加入者が用意された商品の中から、自分に合う資産を選んで運用する制度です。加入者は原則60歳まで運用し、退職金として将来受け取ります。

導入にあたり、事業主と従業員の同意、運営管理機関や資産管理機関の選任が必要です。運営管理機関は、加入者の管理、運用商品の情報提供、制度の運営などを行い、資産管理機関は、加入者のお金の管理を行います。

基本的に、手続きの窓口となるのは、銀行や保険会社などの運営管理機関となります。

確定拠出年金企業型と確定給付型の企業年金との違い

企業で導入できる主な退職金制度と確定拠出年金企業型を比べてみると以下の通りになります。以下の3つにわけて紹介していきます。

  • 確定拠出年金(確定拠出型)
  • 厚生年金基金(確定給付型)
  • 確定給付型企業年金(確定給付型)

比較すべきポイントは、確定拠出型は会社からの掛金が決まっているのに対して、確定給付型は給付する退職金を保障している点です。

もう1つの比較すべきポイントは、確定拠出型が資産運用を加入者(従業員)が行っているのに対して、確定給付型は資産運用を会社が行っている点です。

  確定拠出型 確定給付型
確定拠出年金 厚生年金基金 確定給付型企業年金
しくみ 掛金が決まっている 給付額を保障 給付額を保障
運営 事業主 厚生年金基金 事業主、企業年金基金
掛金 事業主、規約に定めたときは本人掛金も可能 加算部分はほとんどが事業主負担。代行部分は事業主と加入者が折半 事業主
資産運用 加入者 会社 会社
税制(拠出時) 非課税 非課税 非課税
運用 特別法人税課税(凍結中) 非課税 特別法人税課税(凍結中)
退職時 公的年金、退職所得控除 公的年金、退職所得控除 公的年金、退職所得控除

確定拠出年金企業型のメリット

確定拠出年金企業型を上手く活用できれば、企業と従業員にメリットがあります。

確定拠出年金企業型には、主に以下の3つのメリットがあります。

  • 掛金は事業主、従業員ともに控除対象
  • 事業主の負担が増えない「選択制」
  • 積立金不足の補填の必要が無い

掛金は事業主、従業員ともに控除対象

事業主が拠出する確定拠出年金企業型の掛金は、福利厚生費として全額損金扱いとなります。従業員側は掛金に対して税金や社会保険料がかかりません。
掛金ではなく給料を増やした場合、会社は損金になりますが、従業員は増加した給料分に税金と社会保険料がかかります。

事業主の負担が増えない「選択制」

確定拠出年金企業型を導入することによって、会社の掛金の負担が増えてしまいます。しかし「選択制」を導入することで問題を解決できます。

確定拠出年金企業型の選択制とは、給与の一部を掛金にするかしないかを従業員が選べる制度のことです。

例えば、給料のうち1万円までを確定拠出年金企業型の掛金として利用できる場合、従業員は、0円~1万円の範囲で掛金を選択できます。

企業は掛金として新たな費用を発生させることなく、確定拠出年金企業型を導入できます。

従業員は、選択した金額に税金と社会保険料の負担がなくなるため、税負担が軽減されるのです。
従業員が選択できるため、企業が一方的に福利厚生を導入したという不満を持ちにくく、合意を得やすいメリットもあります。

積立金不足の補填の必要が無い

確定給付型の場合には、事業主が掛金を負担、運用を行い、退職金の支払いに備えています。準備した退職金から、社内の退職金規定に基づき社員の退職時に給付を行いますが、運用環境の悪化により、約束した退職金を準備できないケースが増えています。

準備できなかった退職金の不足額は、事業主が負担しなければなりません。

確定拠出型であれば、毎月決まった掛金を拠出し、運用は従業員が行うため、将来の積立不足額を追加で負担するリスクがなくなります。

確定拠出年金企業型のデメリット

メリットがたくさんある確定拠出年金企業型ですが、デメリットもあることを把握しておく必要があります。

確定拠出年金企業型には、主に以下の3つのデメリットがあります。

  1. 従業員は60歳まで受け取れない
  2. 事務コストがかかる
  3. 制度導入に時間がかかる

従業員は60歳まで受け取れない

通常の確定拠出年金企業型で企業が掛金を拠出する場合も、選択制で掛金を選択した場合も、運用した金額は原則60歳まで受け取れません。

60歳になる前に退職した場合にも退職金として掛金をすべて受け取れない点に注意しておきましょう。

事務コストがかかる

選択制確定拠出年金企業型を導入することで、追加で発生する費用はなくなりますが、導入に伴うコストが発生します。

導入に伴うコストとして、社員教育や毎月の手数料、初期導入費用などがあります。また、人事部や経理部担当が窓口になることが多いため、導入に伴って労働コストが増加することも把握しておきましょう。

制度導入に時間がかかる

確定拠出年金企業型の導入までの流れは以下の通りです。

  1. 申請・制度作成業務
  2. 労使の合意
  3. 商品選定と提示

確定拠出年金企業型を導入するためには、ある程度時間がかかることを理解しておきましょう。

申請・制度作成業務

制度内容の決定・規約の作成をした後、厚生局の承認を得ます。社会保険労務士や年金制度に詳しい専門家の助けを借りながら、制度の届出手続きを行うと安心です。

労使の合意

労使の合意がなければ、確定拠出年金企業型は導入できません。労使の合意に向けた説明会など従業員に対する丁寧な説明が必要です。

商品選定と提示

運用商品の選定には、リスク商品や元本確保型商品の商品数など一定のルールがあります。定期的な見直しや報告書の作成などが必要であるため、導入後にも手続きが必要なことも把握しておきましょう。

まとめ

確定拠出年金企業型を導入することによって以下の3つのメリットがあります。

  • 掛金は事業主、従業員ともに控除対象
  • 事業主の負担が増えない「選択制」
  • 積立金不足の補填の必要が無い

確定拠出年金企業型を導入することによるメリットは大きいですが、従業員が掛金を原則60歳まで受け取れないことや、事務的コストや時間がかかるデメリットもあることを理解しておきましょう。

アイマークでは中小企業でも導入コストが負担にならないよう、コストダウンをしたサービスを提供しています。気になる方は、お気軽にアイマークまでご相談ください。

貯蓄ゼロだと老後はどうなる?今からできる資産形成を解説

こんにちは、確定拠出年金相談ねっと 認定FP

アイマーク株式会社 代表の村松です

金融広報委員会の調査によると、若者世代だけではなく、単身、2人以上世帯に貯蓄ゼロの世帯が一定数あるという結果が出ています。

平均寿命も延びており、老後にいくら用意していいのかと不安になっている人も多いのではないでしょうか。この記事では、金融広報委員会の調査をもとに、今からでもできる資産形成の方法について解説しています。

貯蓄ゼロの人はどれくらいいる?

金融広報委員会「令和2年度家計の金融行動に関する世論調査」の年代別貯蓄ゼロの割合を単身者と2人以上の世帯別に紹介していきます。

年代別貯蓄ゼロの割合(単身者)

【年代別貯蓄ゼロの割合(単身者)】

年代 割合(%)
20代 43.2%
30代 31.1%
40代 35.5%
50代 41.0%
60代 29.4%

「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和2年)」を参考に作成
https://www.shiruporuto.jp/public/data/movie/yoron/tanshin/2020/20bunruit001.html

単身者の場合、貯蓄ゼロと回答したのは全体で36.2%であり、年代別では表の通りです。
貯蓄ゼロの割合としては、収入が低い20代の割合が多いですが、その他の世代も貯蓄ゼロの世帯が一定数存在します。

年代別貯蓄ゼロの割合(2人以上世帯)

【年代別貯蓄ゼロの割合(2人以上世帯)】

年代(世帯主の年代) 割合(%)
20代 16.0%
30代 8.2%
40代 13.5%
50代 13.3%
60代 18.3%
70代 18.6%

「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和2年)」を参考に作成
https://www.shiruporuto.jp/public/data/movie/yoron/tanshin/2020/20bunruit001.html

2人以上世帯の場合、貯蓄ゼロと回答したのは全体では16.1%であり、年代別は表の通りです。

単身世帯よりも、貯蓄ゼロの世帯は少ない傾向にありますが、各年代ごとに貯蓄ゼロの世帯が一定数存在します。

老後に必要な金額はいくらか?

生命保険文化センターの調査によると、夫が65歳以上で、妻が60歳以上の無職世帯(夫婦のみ)の家計では、税金や社会保険料を除いた自由に使えるお金(可処分所得)が20.7万円という結果が出ています。

しかし、可処分所得20.7万円であるのに対して平均消費支出が24.0万円であるため、1ヶ月あたり、3.3万円が不足します。

単身者の場合は可処分所得が11.5万円であるのに対して平均消費支出は13.9万円であるため、月に2.4万円が不足するのです。

単身者の男性が65歳の定年退職後から男性の平均寿命である約81歳まで生きるとすると、老後の生活費は約460万円(2.4万×12ヶ月×16年)が追加で必要になります。

介護施設に入ったり、病気などで入院をしたり、自宅のリフォームなどがあれば、さらに必要な金額は増えます。

貯蓄だけでは安心できない

厚生労働省の簡易生命表にある平均寿命の年次推移をみると、毎年着実に平均寿命は延び続けています。

老後資金がいくら必要かという議論は多いですが、平均寿命の延びや医療費などの増加もあるため、正確な金額を予測するのは困難です。

老後は貯蓄がいくらあっても安心できない状況といえるでしょう。

老後を安心して暮らすために必要なこと

安心して老後生活を送るためには、運用してきた資産を取り崩すことで、資産寿命を伸ばす必要があります。
しかし、預貯金や債券といったローリスク、ローリターンの商品の運用をしていては、資産寿命を延ばすのは難しいです。

資産寿命を延ばすためには、運用する商品が重要となってきます。

老後のために目減りしない資産を作る

長期投資をすることで、リスクを抑えながら、資産は増やすことができます。お金を2倍にするために、必要な年利と年数を計算する方法として「72の法則」があります。

元本100万円を運用期間10年で2倍にするためには年利7.2%(72÷10年=7.2)が必要とわかるでしょう。年利が3%と決まっているのであれば、元本100万円が2倍になるための運用年数が24年(72÷3=24)とわかります。

投資においては、リスクとリターンは表裏一体の関係にあるため、年利が高い運用をすれば、リスクも高まるので注意が必要です。72の法則を意識しながら、老後にいくら準備できるかを確認しておきましょう。

若いうちから資産運用を開始することで、長期投資による分散効果を活用しながら、リスクとリターンの大きい商品を運用しましょう。運用益が生活費を上回るような、目減りしない資産を形成できれば、老後の心配もなくなります。

確定拠出年金企業型を活用する

確定拠出年金企業型の商品を運用することで、目減りしない資産を形成できます。

確定拠出年金企業型は老後の資産形成をするための制度であり、従業員が貯蓄が苦手でも、会社で確定拠出年金企業型を導入をすることで、老後の資産形成を手助けできます。

老後に貯蓄ゼロの社員を生み出さないためにも、確定拠出年金企業型の導入はおすすめです。

まとめ

単身と2人以上世帯のいずれも、各年代に貯蓄ゼロの世帯が存在します。老後に貯蓄が必要といわれても、平均寿命が延び、病気や介護にかかる費用を考慮すると、老後資金をどれだけ用意しても不安はなくなりません。

確定拠出年金企業型を上手に活用することで、運用してきた資産を生活費として取り崩しても、目減りしない資産を作ることが可能です。

老後に貯蓄ゼロとなる社員を生み出さないために、確定拠出年金企業型を導入して、従業員の老後の資産形成の手助けをしてあげましょう。

もし、老後の資産形成についてわからないことがあれば、お気軽にアイマークまでご相談ください。

どの資産に投資する?確定拠出年金企業型のポートフォリオの作り方

こんにちは、確定拠出年金相談ねっと 認定FP

アイマーク株式会社 代表の村松です。

確定拠出年金企業型をきっかけに、投資を始める人も多く、運用する商品をどのように組み合わせるべきかわからないという方も多いでしょう。
特徴の異なる商品を組み合わせることでリスクを抑えた運用ができるため、ポートフォリオ作りは重要です。この記事では、ポートフォリオの説明と、ポートフォリオの作り方について解説しています。

ポートフォリオとは

ポートフォリオとは、株式や債券などの運用商品の組み合わせをいいます。

投資の経験がない人は、確定拠出年金企業型のセミナーなどの内容を参考にして、運用商品を選びましょう。

確定拠出年金企業型の運用商品には、元本確保型商品、債券信託、株式投資信託といったカテゴリーがあります。

毎月の掛金が10,000円の場合、元本確保型商品に30%、国内株式投資信託に20%、海外株式投資信託に30%、国内債券20%などのように、各カテゴリーに何パーセント掛金を配分するか決めます。

配分割合の30%である元本確保型商品のうち、1年定期預金を20%と保険商品の10%のように、さらに個別の商品に毎月の掛金を割り振りましょう。

ポートフォリオを作るためには、このように毎月の掛金をどのような資産に配分するかを具体的に決めていく必要があります。

ポートフォリオを自分で組むことが重要

退職金制度が変更になると聞いてなんとなく確定拠出年金企業型のセミナーに参加した方や、投資初心者の方は、自分でポートフォリオを組めていないのではないでしょうか。

急に資産運用の話を聞かされて、期限までに運用商品を選んでくださいと言われても困ってしまうのは当然です。制度の仕組みすらわからず、運用商品を選択している方は損をしている可能性が高いでしょう。

確定拠出年金企業型は、老後の年金を増やすための大切な制度です。上手く資産運用ができれば、資産を大きく増やせるチャンスがあるので、商品の選択を自分の意思で行い、自分に合ったポートフォリオを作るのが大切です。

ポートフォリオの作り方

一般的なポートフォリオの作成手順について解説します。ポートフォリオの作成手順は以下の通りです。

  1. 各資産のリスクについて理解する
  2. 各資産の特徴について理解する
  3. 自分のリスク許容度を理解する
  4. 実際にポートフォリオを作る

投資は、商品によって値動きが小さいものや、大きいものなどさまざまな種類があり、値動きの幅のことをリスクといいます。リスクの高い商品ほど、大きなリターンを得られる可能性が高くなる傾向にあります。

各資産のリスクについて理解する

参考:確定拠出年金企業型の運用商品をわかりやすく解説 : コラム – FP相談ねっと認定FP 村松 繁 :2022年8月18日 更新。 (fpsdn.net)

確定拠出年金企業型の運用商品のリスクとリターンについて解説します。

各資産のリスクとリターンの関係は画像の通りです。上へいくほどリターンが大きくなりますが、右へいくほどリスクも大きくなります。
1番リスクとリターンが小さい商品が「元本確保商品」であり、1番リスクとリターンが大きい商品が「外国株式」とわかります。

各資産の特徴について理解する

各資産の特徴は以下の通りです。各資産の特徴を理解することで、配分割合の調整をする際の判断ができるようになります。

元本確保型商品 満期まで保有すれば元本割れをしないが、資産はほとんど増えない
債券投資信託 比較的安全な資産であるため、株式市場の不調時の候補として選ばれる
株式投資信託 株式市場が好調なときに上昇するため、積極的にリターンを得たいときに活用する
不動産投資信託 金利が低いときに基準価格は上昇する傾向がある
インフレ時の価格の反応が、株式投資信託と比較すると緩やか

自分のリスク許容度を理解する

以下の基準を確認して、自分のリスク許容度を理解しましょう。リスク許容度を理解することで、自分のとれるリスクを再認識できます。

  • 年齢
  • 投資経験
  • その他の資産
  • リスクに対しての考え方

年齢

若い人ほど、投資をする期間が長く取れるため、リスクの高い商品であっても運用できます。長期積立の特徴を利用することで安定したリターンを出せるからです。若い人ほどリスク許容度が高く、年齢を重ねるにつれてリスク許容度は低くなっていきます。

投資経験

投資経験が多い人は、長期投資、分散投資の仕組みを理解していることが多く、情報収集能力も高い傾向にあります。

リスクとリターンの大きい商品の取扱いを理解しており、投資パフォーマンスが良くなる可能性が高いです。投資経験が多い人ほどリスク許容度が高く、投資経験が少ない人ほどリスク許容度は低くなります。

その他の資産

多くの資産がある人ほど、投資に使える余剰資金が多くなるため、リスクとリターンの大きな商品を運用できます。資産が多い人ほどリスク許容度が高く、資産が少ない人ほどリスク許容度は低くなります。

リスクに対しての考え方

リスクをとってでもリターンを狙いたい人や、元本割れは絶対したくないといった人がいるように、投資に関する考え方はさまざまです。

積極的にリスクを背負ってでもリターンを求める人はリスク許容度が高くなり、リスクを可能な限り少なくしたい人はリスク許容度が低くなります。

実際にポートフォリオを作る

各資産のリスクとリターンの関係と自分のリスク許容度が理解できたら、実際にポートフォリオを作ります。

自分の力だけでポートフォリオを作ることが困難な場合は、導入セミナーなどで活用しているチェックシートなどを参考にしてポートフォリオを作るのも良いでしょう。

ポートフォリオにあったバランスファンドを選ぶべきか?

自分で作成したポートフォリオに近いバランスファンドを選ぶことも1つの方法です。
しかし、長期積立の仕組みを活用すれば、リスクをおさえながら、バランスファンドよりも高いリターンを狙える可能性があります。

自分でポートフォリオを作成できたのであれば、バランスファンドよりも自分で作成したポートフォリオで運用することをおすすめします。

バランスファンドは必要ない

投資信託はたくさんの投資銘柄を含んだ投資商品であるため、商品の分散効果が働いている運用方法です。

また、確定拠出年金企業型の仕組みを活用しながら投資をすることで、意識せずとも長期積立による分散効果が働きます。確定拠出年金企業型の仕組みを活用すれば、バランスファンドよりもリターンの高い外国株式投資信託などをリスクをおさえて運用できます。

値動きの大きな商品も、15年、20年という長期間で運用することにより、リスクを減らしながら、大きく資産を増やしていけるのです。各投資信託の過去の実績を確認しながら、長期的な視点で運用商品を選びましょう。

まとめ

各資産のリスクとリターンの関係と自分のリスク許容度を理解して、ポートフォリオを作ることが重要です。投資信託の商品分散効果や、確定拠出年金企業型の仕組みを活用した投資をして、長期積立による分散効果によって、リスクをおさえてリターンの高い商品を運用できるようになります。安易にバランスファンドを選択するのではなく、自分でポートフォリオを作成して運用してみましょう。

リスク許容度が高い人は、収益性の高い商品に特化して運用する方法もおすすめです。
もし、ポートフォリオの作成でわからないことがあれば、お気軽にアイマークまでご相談ください。