確定拠出年金企業型の改正ポイントとは?注意点もあわせて解説

こんにちは、確定拠出年金相談ねっと 認定FP

アイマーク株式会社 代表の村松です。

令和4年度以降、確定拠出年金の企業型とiDeCo(イデコ)の制度がともに大きく改正となりました。いずれも以前の制度より使いやすく、より老後の資産形成の支えとなる制度に変わっています。

この記事では、確定拠出年金企業型の改正ポイントや注意点について詳しく解説します。

確定拠出年金企業型の改正ポイント

確定拠出年金企業型は、国民の資産形成を推進しようという国の後押しもあり、多くの企業で採用されている制度です。

従業員と企業に税制上のメリットがあるため、現在も導入企業数は毎年伸び続けています。そこで、令和4年度から実施されている以下の3つの変更点について解説していきます。

  • 受給開始年齢の上限を70歳から75歳へ延長
  • 加入可能者年齢が70歳未満に拡大
  • 確定拠出年金企業型の加入者がiDeCo(イデコ)に加入しやすくなる

受給開始年齢の上限を70歳から75歳へ延長

改正前の確定拠出年金企業型では、原則60歳から年金を受け取ることができ、少なくとも70歳までに受給を開始する必要がありました。

令和4年4月からは、受取開始年齢の上限が70歳から75歳となり、運用できる期間が5年伸びたため、従来よりも長い期間で資産運用ができるようになりました。

ただし、60歳以降も運用を続けた結果、60歳時点よりも資産が減少してしまう可能性もあるので注意が必要です。公的年金の繰り下げ支給のように受取を後に伸ばすことによって、受取額が必ず増加するというものではありません。

加入可能年齢が70歳未満に拡大

改正前の確定拠出年金企業型では、掛金拠出ができる年齢は原則60歳未満の厚生年金被保険者となっており、60歳前と同じ事業所で継続して働く厚生年金被保険者のみ、規約に定めることによって65歳未満まで加入することが可能でした。

令和4年度の改正によって、令和4年5月以降は70歳未満であれば確定拠出年金企業型に加入できるようになりました。加入者年齢が拡大されることによって、確定拠出年金企業型の加入者の増加が期待できます。

確定拠出年金企業型の加入者がiDeCo(イデコ)に加入しやすくなる

  確定拠出年金企業型に加入していてiDeCoに加入する場合 確定拠出年金企業型と確定給付型に加入していてiDeCoに加入する場合
確定拠出年金企業型の事業主掛金(①) 55,000円以内 27,500円以内
iDeCoの掛金(②) 20,000円以内 20,000円以内
①+② 55,000円以内 27,500円以内

改正前の確定拠出年金企業型では、確定拠出年金企業型に加入している従業員が、iDeCo(イデコ)に加入するためには、労使が合意をしたうえで規約に定める必要がありました。

令和4年度の改正によって、令和4年10月以降は、確定拠出年金企業型の加入者が、特定の規約がなくても原則iDeCo(イデコ)に加入できるようになりました。

なお、確定拠出年金企業型のマッチング拠出を選択している場合は、iDeCo(イデコ)に加入することはできません。マッチング拠出を採用している企業にお勤めの方は、マッチング拠出かiDeCo(イデコ)かどちらかに加入するかを選択することになります。

また、確定拠出年金企業型の事業主掛金とiDeCo(イデコ)の掛金の合計額が、上記の表の金額以下であることが条件となります。

確定拠出年金企業型改正にともなう注意点

確定拠出年金企業型の改正にともなって、実はiDeCo(イデコ)の改正も行われています。確定拠出年金企業型の改正にともなう注意点として以下の2つを解説します。

  • 老齢給付金を受給した場合
  • iDeCo(イデコ)の加入年齢拡大

老齢給付金を受給した場合

確定拠出年金企業型や、iDeCo(イデコ)の老齢給付金を受給した場合には、加入要件を満たしていても確定拠出年金企業型、iDeCo(イデコ)のいずれにも再加入することができなくなります。

また、公的年金を65歳より前に繰り上げ請求した場合も同様に、加入要件を満たしてもiDeCo(イデコ)に加入することはできません。

iDeCo(イデコ)の加入年齢拡大

令和4年度の確定拠出年金企業型の改正によって、iDeCo(イデコ)もさらに加入しやすくなりました。改正前のiDeCo(イデコ)では、加入者の年齢は20歳以上〜60歳未満となっていましたが、令和4年5月以降は65歳未満まで加入可能です。

ただし、iDeCo(イデコ)は加入要件の1つとして「国民年金の被保険者であること」があるため、フリーランスや自営業の場合は、国民年金の納付月数が40年(480ヵ月)に満たない人が加入する任意加入制度の利用が必要となります。

なお、お勤めの方で、定年後も雇用延長で厚生年金の被保険者として働く場合は、国民年金の被保険者に該当するため、iDeCo(イデコ)に65歳まで加入することが可能です。

まとめ

令和4年度の改正によって確定拠出年金企業型は今までよりも使いやすくなり、iDeCo(イデコ)との併用もしやすくなりました。国が老後の資産形成の後押しをしていることがわかります。

しかし、公的年金を繰り上げ受給してしまったり、60歳で会社を定年退職して国民年金の任意加入者でもない場合などは、iDeCo(イデコ)に加入できません。

一旦決めてしまうと後戻りができないため、早いうちに老後に向けてのライフプランを作成し、何歳まで働くかなどの計画を立てておく必要性があります。

国の複雑な年金制度なども関係するため、難しくてわからない場合には、アイマークまでお気軽にご相談ください。

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