「繁 口内炎が治らないんだけど。」
22年前、父が私につぶやいたひとことで、父の口の中を見せてもらうことになります。
金歯に接している舌ベラの裏側に梅の花が咲いたようなカタマリがあります。これは口内炎ではないぞ!見た瞬間にそう判断してすぐに父を歯科医院に行かせました。その後、紹介状を書いてもらって市民病院にて検査。
結果は舌癌です。
そこから父の舌癌との闘いが始まります。
放射線治療では、口腔内一面に出来た口内炎でもう治療は嫌だと言いはじめる。
手術が決まって、もう放射線から解放されると喜ぶ。
市民病院では未経験の手術で、歯科大学の教授が出張されて執刀。病院内ではすごい手術なので見学の医師が多数見守る中、手術が始まる。舌の3分の1を切除し、同時に腸を切除。
切除した舌のカタチに腸を成型し舌ベラに縫い合わせる。手術時間は10時間に及びます。
堀ちえみさんの舌癌の報道を見るにつけ、父の治療経過を思い出します。
父は数年後、縫い合わせた腸がぶよぶよになったことで、再度成形手術を受けます。その際、下あごの神経を切断されて下あごの感覚を失います。