『多焦点眼内レンズ』が先進医療から外れる方向に

令和元年12月13日(金)ホテルグランドアーク半蔵門 富士の間(4階)で開かれた『中央社会保険医療協議会 総会(第441回)』の議事録を確認すると以下のような議論がありました。

 

多焦点眼内レンズの使用を『選定療養』に位置付ける とあります。いったい『選定療養』とは何なのでしょうか?

 

厚生労働省のホームページを確認すると選定療養について以下のような説明があります。『患者が選定療養を受けた場合、入院基本料等の基礎的部分が保険外併用療養費として支給される一方、上乗せ部分については、その費用を患者から自由に徴収することができることとされており、現在10類型(※)が定められています。

  1. 特別の療養環境(差額ベッド)
  2. 歯科の金合金等
  3. 金属床総義歯
  4. 予約診療
  5. 時間外診療
  6. 大病院の初診
  7. 大病院の再診
  8. 小児う蝕(むし歯のこと・アイマーク加筆)の指導管理
  9. 180日以上の入院
  10. 制限回数を超える医療行為

 

ここに『白内障の治療における多焦点眼内レンズによる水晶体再建術』が11番目の類型として加わることになりそうです。

 

というわけで、令和2年4月からは『多焦点眼内レンズ』の治療は金歯や差額ベッド代のように、実費が請求されるようになります。

 

現在、生命保険の医療保険などで先進医療特約を付けている方は特約の守備範囲からこの治療が外れますから負担が増すことになります。眼内レンズの実費は生命保険の医療保険の給付対象にはなりませんが、手術給付金などでカバーされる部分もあると思います。逆に先進医療特約を持っていない方は、レンズ代のみを負担する『選定療養』になることで、自己負担は大幅に安くなることも考えられます。

 

最後に治療されたお客様の感想を載せておきます。

 

過去に白内障の手術で『多焦点眼内レンズ』を使ったお客様からヒアリングしましたが、多くのお客様が便利になったと喜んでいます。しかし一部の方からは『夜の車の運転で、対向車のライトがまぶしくて仕方ない』『全体的にぼやけて見えて大変不快なので、再手術して単焦点レンズに変えてもらった』という声もありました。

今後も先進医療と選定療養の動向には注意をはらう必要がありそうです。